ワルファリン療法は、血液凝固能を低下させて血栓形成を防ぐことが主な目的である。もともと病態から由来する血栓傾向に対して、血液の性状を変化させた状態を保って血栓塞栓症の予防を行うものである。ワルファリン療法は、一般に脳梗塞や心筋梗塞などの疾病そのものを治療するわけではない。
したがって、ワルファリンの投与期間は、原疾患の状態や患者個々のリスク(血栓形成と出血)を総合的に判断して決められるもので、一律に定められるものではない。
ワルファリン療法の導入を決めるに際しては、以下の点を十分に考慮したうえで導入の適否が決められる。
1.この治療法には出血の危険が常に伴っていること
2.患者の凝固能のチェックを定期的に行うための時間、労力が必要であること
経口抗凝固薬療法(ワルファリン療法)を適用する期間、あるいは予定する期間としては短期のものから、中期、長期、さらに機械弁置換術後などのように疾患によっては生涯にわたって使用されるケースもある。また、ワルファリンと抗血小板薬の併用も行われる。
経口抗凝固薬の適応症について、国際血液学会標準化委員会の経口抗凝固薬療法のガイドライン2)や総説3)などを参考とした表を示す。
【参考文献】 [文献請求番号]
1)青﨑 正彦: 循環器科, 10, 218(1981) WF-0017
2)風間 睦美ら: 血液と脈管, 16, 431(1985) WF-0031
3)青﨑 正彦ら(前川 正ら監修):ワーファリン, Ⅳ.投与の実際(メディカルジャーナル社、東京), 55(1998) WF-2253