• No : 347
  • 公開日時 : 2018/06/18 00:00
  • 更新日時 : 2024/10/29 14:13
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【フィコンパ錠・細粒】 作用機序について教えてください。

【フィコンパ錠・細粒】 
 
作用機序について教えてください。
 
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回答

総合製品情報概要には、作用機序に関して以下の記載があります。(引用1)
 
作用機序(引用2、3)
ペランパネルは、シナプス後膜に主として存在するAMPA(α-amino-3-hydroxy-5-methyl-4-isoxazolepropionic acid)型グルタミン酸受容体に選択的な非競合的拮抗剤です。AMPA受容体はてんかん波の発生並びにシナプスを介した伝播に重要な役割を持つと想定されており、ペランパネルはそれらを抑制することにより抗てんかん作用を発揮すると推定されています。

 
                                                                     (イメージ図)
【参考】
既存の抗てんかん薬の作用機序は、興奮性抑制と抑制系賦活化の大きく2つに分けられます。各抗てんかん薬の主な作用点として、電位依存性ナトリウム又はカルシウムチャネルの阻害、神経伝達物質放出機構の調節、グルタミン酸神経伝達の抑制やγ-アミノ酪酸(GABA)系の賦活が挙げられます。
既存の抗てんかん薬の多くはこれらの作用の単独又は組み合わせで効果を発揮すると推定されていますが、ペランパネルは選択的にAMPA受容体抑制を示します。
                                                                      (イメージ図)

 
■神経細胞膜画分におけるグルタミン酸受容体結合性(in vitro)(引用3)
ラット脳膜画分を用いたin vitro結合性試験の結果、グルタミン酸受容体作用薬であるグルタミン酸及びAMPA、競合的グルタミン酸受容体拮抗剤は、ペランパネルの神経細胞膜画分における結合を阻害しませんでした。一方、AMPA受容体の非競合的拮抗剤であるCP465022及びGYKI52466は、ペランパネルの神経細胞膜画分における結合を阻害したことから、結合部位であることが示唆されました。
 
■AMPA誘発細胞内カルシウム濃度上昇に対する作用(in vitro)(引用4)
ラットの大脳皮質神経細胞に蛍光カルシウムイオン指示薬であるFura2を取り込ませ、細胞内カルシウム濃度変化をFura2の蛍光強度によって測定しました。
ペランパネルは2μmol/LのAMPA刺激による細胞内カルシウム濃度上昇を、濃度依存的に抑制しました。
 
■神経膜興奮性に対する作用(in vitro)(引用5)
ラット海馬スライスにおいて電流により誘発されるスパイク発火に対する作用をパッチクランプ法により検討した結果、ペランパネルは、いずれの電流刺激においてもスパイク発火の頻度に影響しませんでした。
ペランパネルはAMPA誘発細胞内カルシウム濃度上昇のIC50値(0.024μg/mL)と比較し十分高い濃度において、AMPA/カイニン酸受容体、GABAA受容体及びNMDA受容体に関与しない神経膜興奮性には影響しないことが確認されました。
 

【引用】
1)フィコンパ錠2mg・4mg・細粒1%・点滴静注用2㎎総合製品情報概要 薬効薬理 p92(FYC1001KSG)
2)社内資料:ペランパネルの効力を裏付ける試験[FYC-0027]
3)Hanada T,et al.Epilepsia.;52(7):1331-1340(2011)[FYC-0034](本研究の著者はエーザイ株式会社の社員である)
4)社内資料:AMPA誘発細胞内カルシウム濃度上昇に対する作用(試験番号M00025、M09014)[FYC-0059]
5)社内資料:ラット海馬スライスによる神経膜興奮性に対する作用(試験番号M11023)[FYC-0060]
 
【更新年月】
2024年10月