電子添文には肝機能障害の副作用(疾患共通)について以下の記載があります。
11. 副作用
11.1 重大な副作用
11.1.4 肝機能障害(8.3%)(引用1)
肝機能障害の発現状況、注意事項及び対処法は以下の通りです。
■発現状況
<乳癌>(引用2)
国内臨床試験(221試験)、外国臨床試験(201、211、305試験)において、肝機能障害が下表の通り認められました。なお、外国臨床試験(301試験)において肝不全による死亡および中毒性肝炎による死亡が各1例みられました。
また、国内臨床試験(221試験)および外国臨床試験(201、211、305試験)において、投与前の肝機能検査値で層別し、Grade4の好中球減少の発現状況を解析しました。その結果、Grade4の好中球減少の発現は、肝機能低下に伴って高くなる傾向がみられました。(関連情報参照)
<悪性軟部腫瘍>(引用3)
国内第II相試験、外国第III相試験において、下表の通り肝機能障害が認められました。
■投与前の注意事項(引用3)
肝機能の状態を把握し、肝機能検査(ASTまたはALTなど)を行ってください。
■投与中の注意事項(引用2、3)
肝機能検査(ASTまたはALTなど)を行うなど、観察を十分に行ってください。
■対処法(引用2)
肝機能障害のある患者に投与する場合は、減量を考慮してください。
肝機能検査値に異常が認められた場合には、下図を参考に必要に応じて、投与を延期または休薬してください。
<乳癌>なお、国内臨床試験(221試験)において、AST、ALT上昇によって休薬が行われたのは8.8%(7/80例)でした。
【関連情報】
●肝機能検査値別のGrade4の好中球減少の発現状況(引用4)
国内臨床試験(221試験)および外国臨床試験(201、211、305試験)において、投与前の肝機能検査値で層別してGrade4の好中球減少の発現状況を解析した結果、Grade4の好中球減少の発現は肝機能低下に伴って高くなる傾向がみられました。
●肝機能障害のある患者での薬物動態:外国第I相試験(108試験)(引用4)
固形がん患者注118例を肝機能によって3分類し(正常、軽度肝機能障害:Child-Pugh A、中等度肝機能障害:Child-Pugh B)、それぞれにハラヴェン1.4、1.1注2または0.7注2mg/m2を2~5分間かけて静脈内投与したとき、肝機能の低下に伴い、クリアランスの低下、t1/2の延長、投与量で補正したAUCおよびCmaxの増加が認められました。
注1 ハラヴェンの承認された効能又は効果は以下の通りです。
4. 効能又は効果(引用5)
手術不能又は再発乳癌、悪性軟部腫瘍
注2 ハラヴェンの承認された用法及び用量は以下の通りです。
6. 用法及び用量(引用6)
通常、成人には、エリブリンメシル酸塩として、1日1回1.4mg/m2(体表面積)を2~5分間かけて、週1回、静脈内投与する。これを2週連続で行い、3週目は休薬する。これを1サイクルとして、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
●「肝機能障害あり/なし」※1の患者別の副作用発現状況※2:使用成績調査(乳癌)(引用4)
「肝機能障害あり」の患者の副作用発現症例率は、「肝機能障害なし」の患者よりも高くなりました[オッズ比:2.498(95%CI:1.032-6.045、多変量Logistic回帰モデル)]。
【引用】
1)ハラヴェン静注1mg電子添文2022年1月改訂(第1版) 11. 副作用 11.1 重大な副作用 11.1.4 肝機能障害
2)【手術不能又は再発乳癌】ハラヴェン静注1mg適正使用ガイド II重大な副作用とその対策 4.肝機能障害 p13-14(DI-J-806)
3)【悪性軟部腫瘍】ハラヴェン静注1mg適正使用ガイド III重大な副作用とその対策 4.肝機能障害 p22(DI-J-779)
4)【手術不能又は再発乳癌】ハラヴェン静注1mg適正使用ガイド IV投与患者の選択 4.インフォームドコンセント p24-26(DI-J-806)
5)ハラヴェン静注1mg電子添文2022年1月改訂(第1版) 4. 効能又は効果
6)ハラヴェン静注1mg電子添文2022年1月改訂(第1版) 6. 用法及び用量
【更新年月】
2024年9月
【図表あり】
KW:肝機能異常、肝毒性、肝障害、肝機能検査値異常、肝細胞融解性肝炎、トランスアミナーゼ上昇
【図表あり】
KW:総ビリルビン