• No : 3146
  • 公開日時 : 2018/07/20 00:00
  • 更新日時 : 2025/03/07 14:36
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【メチコバール・錠・細粒】 作用機序について教えてください。

【メチコバール・錠・細粒】 
 
作用機序について教えてください。
 
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回答

電子添文には、作用機序に関する以下の記載があります。
 
18.薬効薬理(引用1)
18.1 作用機序
メコバラミンは、生体内補酵素型ビタミンB12の1種であり、ホモシステインからメチオニンを合成するメチオニン合成酵素の補酵素として働き、メチル基転位反応に重要な役割を果たす。
 
18.2 神経細胞内小器官へよく移行し、核酸・蛋白合成を促進
シアノコバラミンに比し、神経細胞内の小器官への移行がよい(ラット)。また、脳由来細胞・脊髄神経細胞の実験系で、デオキシウリジンからチミジンへの合成系に関与し、貯蔵型葉酸の利用促進とともに核酸代謝にも関与し、コバマミドに比して核酸・蛋白の合成を促進する(ラット)。(引用2、3、4)
 
18.3 軸索内輸送、軸索再生の促進
ストレプトゾトシン投与による実験的糖尿病ラットの坐骨神経細胞で、軸索の骨格蛋白の輸送を正常化する。アドリアマイシン、アクリルアミド、ビンクリスチンによる薬物性神経障害(ラット、ウサギ)及び軸索変性モデルマウス、自然発症糖尿病ラットの神経障害に対して、神経病理学的、電気生理学的に変性神経の出現を抑制する。(引用5、6、7、8、9、10)
 
18.4 髄鞘形成(リン脂質合成)の促進
髄鞘の構成成分であるレシチンの合成を促進し、培養神経組織でコバマミドに比して神経線維の髄鞘形成率を高める(ラット)。(引用11、12)
 
18.5 シナプス伝達の遅延、神経伝達物質の減少を回復
挫滅した坐骨神経で、神経線維の興奮性を高めることにより終板電位の誘発を早期に回復する(ラット)。また、コリン欠乏食ラットで低下した脳内アセチルコリン量を正常化する。(引用13、14)
 
【関連情報】
インタビューフォームには、作用部位に関する以下の記載があります。
 
■作用部位(引用15)
物質が神経組織へ移行するためには、脳血管関門を通過する必要がある。本薬は、その脳血管関門を通過して神経細胞内小器官へよく移行する。
 

【引用】
1)メチコバール錠250μg・錠500μg・細粒0.1%電子添文 2023年4月改訂(第1版) 18.薬効薬理
2)稲田雅美ら:神経系とメチルB12(協和企画通信),1981;23-29 [MBL-0680]
3)中沢恒幸ら:ビタミン,1970;42(3):193-197 [MBL-0044](本研究はエーザイの支援を受けて実施された)
4)中沢恒幸ら:ビタミン,1970;42(5):275-279 [MBL-0045](本研究はエーザイの支援を受けて実施された)
5)竹中敏文ら:Prog.Med., 1982;2(10):1759-1762 [MBL-0313](本研究はエーザイの支援を受けて実施された)
6)大西晃生ら:臨床薬理,1987;18(2):387-392 [MBL-0571](本研究はエーザイの支援を受けて実施された)
7)Watanabe T. et al.:J. Neurol. Sci., 1994;122(2):140-143 [MBL-0774]
8)斉藤豊和ら:神経系とメチルB12(協和企画通信),1981;75-86 [MBL-0542](本研究はエーザイの支援を受けて実施された)
9)Yamazaki K. et al.:Neurosci. Lett., 1994;170(1):195-197 [MBL-0773]
10)八木橋操六ら:臨床薬理,1988;19(2):437-443 [MBL-0624](本研究はエーザイの支援を受けて実施された)
11)中沢恒幸ら:神経系とメチルB12(協和企画通信),1981;54-60 [MBL-0679]
12)米沢猛ら:神経系とメチルB12(協和企画通信),1981;49-53 [MBL-0544]
13)渋谷統寿:神経系とメチルB12(協和企画通信),1981;134-140 [MBL-0540]
14)Sasaki H. et al.:Pharmacol. Biochem.Behav., 1992;43(2):635-639 [MBL-0775]
15)メチコバール錠250μg・錠500μg・細粒0.1%インタビューフォーム 2024年4月改訂(第7版) VI.薬効薬理に関する項目 2.薬理作用 (1)作用部位・作用機序
 
【更新年月】
2025年3月

 
KW:薬効薬理