電子添文には、合併症・既往歴等のある患者に関する以下の記載があります。
9.特定の背景を有する患者に関する注意(引用1)
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.1.1消化性潰瘍の既往歴のある患者
消化性潰瘍を再発させることがある。
9.1.2非ステロイド性消炎鎮痛剤の長期投与による消化性潰瘍のある患者で、本剤の長期投与が必要であり、かつミソプロストールによる治療が行われている患者
本剤を継続投与する場合には、十分経過を観察し、慎重に投与すること。ミソプロストールは非ステロイド性消炎鎮痛剤により生じた消化性潰瘍を効能・効果としているが、ミソプロストールによる治療に抵抗性を示す消化性潰瘍もある。
9.1.3血液の異常又はその既往歴のある患者(重篤な血液の異常のある患者を除く)
血液異常を悪化あるいは再発させることがある。
9.1.4心機能障害のある患者(重篤な心機能不全のある患者を除く)
心機能障害を悪化させるおそれがある。
9.1.5高血圧症の患者(重篤な高血圧症の患者を除く)
高血圧症を悪化させることがある。
9.1.6膵炎の患者(重篤な膵炎の患者を除く)
本剤の活性代謝物のインドメタシンで急性膵炎が発現したとの報告がある。
9.1.7てんかん、パーキンソン症候群等の中枢神経系疾患のある患者
本剤の活性代謝物のインドメタシンでこれらの疾患を悪化させたとの報告がある。
9.1.8気管支喘息の患者(アスピリン喘息又はその既往歴のある患者を除く)
喘息発作があらわれることがある。
9.1.9 SLE(全身性エリテマトーデス)の患者
類薬(フェニルブタゾン)でSLEを悪化させたとの報告があり、また、本剤の活性代謝物のインドメタシンをSLE患者に投与したところ、急性腎障害を起こしたとの報告がある。
9.1.10潰瘍性大腸炎の患者
本剤の活性代謝物のインドメタシンで疾患を悪化させたとの報告がある。
9.1.11クローン病の患者
本剤の活性代謝物のインドメタシンで疾患を悪化させたとの報告がある。
9.1.12感染症を合併している患者
必要に応じて適切な抗菌剤を併用し、観察を十分に行い慎重に投与すること。感染症を不顕性化するおそれがある。
9.1.13胆汁うっ滞等、胆汁分泌の低下している患者
投与を避けること。本剤の吸収が低下すると考えられる。
9.2腎機能障害患者
9.2.1重篤な腎機能障害のある患者
投与しないこと。腎機能障害を悪化させることがある。
9.2.2腎機能障害又はその既往歴のある患者(重篤な腎機能障害のある患者は除く)
腎機能障害を悪化あるいは再発させることがある。
9.3肝機能障害患者
9.3.1重篤な肝機能障害のある患者
投与しないこと。肝機能障害を悪化させることがある。
9.3.2肝機能障害又はその既往歴のある患者(重篤な肝機能障害のある患者は除く)
肝機能障害を悪化あるいは再発させることがある。
9.5妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。妊娠中の投与に関し、次のような報告がある。
・本剤の活性代謝物のインドメタシンで、妊娠後期に投与したところ、胎児循環持続症(PFC)、胎児の動脈管収縮、動脈管開存症、胎児腎不全、胎児腸穿孔、羊水過少症が起きたとの報告がある。また、妊娠末期に投与したところ早期出産した新生児に壊死性腸炎の発生率が高いとの報告、及び消化管穿孔、頭蓋内出血が起きたとの報告がある。
・本剤の活性代謝物のインドメタシンにおいて、動物実験(マウス)で催奇形作用が、また、本剤ではラットで着床率の減少、死亡吸収胚の出現頻度の増加が報告されている。
・妊娠末期のラットに投与した実験で、胎児の動脈管収縮が報告されている。
9.6授乳婦
授乳しないことが望ましい。ラットで乳汁への移行が報告されている。
9.7小児等
他剤が無効又は使用できない関節リウマチに対して投与する場合には慎重に投与すること。小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8高齢者
少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。副作用があらわれやすい。
【関連情報】
下記項目については、インタビューフォームの「特定の背景を有する患者に関する注意」に電子添文以外の記載があります。
特定の背景を有する患者に関する注意
■合併症・既往歴等のある患者(引用2)
(解説)
・SLE(全身性エリテマトーデス)の患者
SLEそのものに対するNSAIDs投与の有用性は確立しておらず、フェニルブタゾンなどのNSAIDs投与でSLEが悪化したという報告がある。(引用3)
また、利尿剤(トリアムテレンとヒドロクロロチアジド)との併用、インドメタシンとイブプロフェンの投与を受けた47歳のSLE患者が急性腎障害をきたしたという症例が報告されている。特にトリアムテレンとの併用は要注意である。(引用4)
・感染症を合併している患者
一般的にNSAIDsの抗炎症作用はステロイド剤ほど強力ではなく、感染症の不顕性化のおそれは少ないとされている。しかし、投与中は、いたずらに解熱の目的でNSAIDsを投与しない。NSAIDs感染症を見逃さないために観察を十分行い慎重に投与すべきである。
■小児等(引用5)
小児には投与しないことを原則とするが、他剤が無効又は使用できない関節リウマチに対して投与する場合には慎重に投与すること。
また、インドメタシン経口投与時の小児で大量投与により、重篤な副作用(感染症の不顕性化、肝炎)が報告されている。
■高齢者(引用6)
本剤は主として肝・腎で代謝されて排泄されるが、高齢者では肝・腎機能が低下していることが多く、クリアランスが低下している可能性があり、副作用発現の危険性が増大する。
【引用】
1)インフリーカプセル100mg・Sカプセル200mg電子添文 2022年8月改訂(第1版) 9.特定の背景を有する患者に関する注意
2)インフリーカプセル100mg・Sカプセル200mgインタビューフォーム 2023年1月改訂(第8版) VIII.安全性(使用上の注意等)に関する項目 6.特定の背景を有する患者に関する注意 (1)合併症・既往歴等のある患者
3)Wirth W. et al.:Verh. Dtsch. Ges. Rheumatol.,1976;4:p401-406 [INF-0185]
4)ter Borg E. J. et al.:Neth. J. Med.,1987;30:p181-186 [INF-0054]
5)インフリーカプセル100mg・Sカプセル200mgインタビューフォーム 2023年1月改訂(第8版) VIII.安全性(使用上の注意等)に関する項目 6.特定の背景を有する患者に関する注意 (7)小児等
6)インフリーカプセル100mg・Sカプセル200mgインタビューフォーム 2023年1月改訂(第8版) VIII.安全性(使用上の注意等)に関する項目 6.特定の背景を有する患者に関する注意 (8)高齢者
【更新年月】
2024年5月