禁忌はパーキンソニズムがある患者になります。(引用1)
パーキンソニズムの症状がなければ、パーキンソン病の患者は禁忌に該当しないと考えておりますが、パーキンソン病の診断基準には、パーキンソニズムが存在することが記されています。(引用2、3)
抗パーキンソン病薬などの治療により一時的にパーキンソニズムの症状がなくても、症状が現れる可能性は考えられるため、本剤の投与をご検討される場合には、患者の症状を十分に観察いただき、医療機関でのご判断をお願いいたします。
パーキンソニズムの症状が疑われた場合には、本剤の投与を中止してください。
【関連情報】
ご参考として、パーキンソン病診療ガイドラインには、パーキンソン病のInternational Parkinson and Movement Disorder Society(MDS)診断基準(2015)の記載があります。
■International Parkinson and Movement Disorder Society(MDS)診断基準(2015)より一部抜粋(引用2)
臨床的に確実なパーキンソン病
パーキンソニズムが存在しさらに、
1)絶対的除外基準に抵触しない。
2)少なくとも2つの支持的基準に合致する。
3)相対的除外基準に抵触しない。
臨床的にほぼ確実なパーキンソン病
パーキンソニズムが存在しさらに、
1)絶対的除外基準に抵触しない。
2)相対的除外基準と同数以上の支持的基準がみられる。ただし2つを超える相対的基準がみられてはならない。
■パーキンソン病(指定難病6)(引用3)
●概要
パーキンソン病は、黒質のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変成疾患である。4大症状として(1)安静時振戦、(2)筋強剛(筋固縮)、(3)無動・寡動、(4)姿勢反射障害を特徴とする。このほか(5)同時に2つの動作をする能力の低下、(6)自由にリズムを作る能力の低下を加えると、ほとんどの運動症状を説明することができる。近年では運動症状のみならず、精神症状などの非運動症状も注目されている。発症年齢は50~65歳に多いが、高齢になるほど発病率が増加する。40歳以下で発症するものは若年性パーキンソン病と呼ばれる。この中には遺伝子異常が明らかにされた症例も含まれる。
●診断基準
以下の診断基準を満たすものを対象とする。(Probableは対象としない。)
1.パーキンソニズムがある。※1
2.脳CT又はMRIに特異的異常がない。 ※2
3.パーキンソニズムを起こす薬物・毒物への曝露がない。
4.抗パーキンソン病薬にてパーキンソニズムに改善がみられる。※3
以上4項目を満たした場合、パーキンソン病と診断する(Definite)。
なお、1、2、3は満たすが、薬物反応を未検討の症例は、パーキンソン病疑い症例(Probable)とする。
※1.パーキンソニズムの定義は次のいずれかに該当する場合とする。
(1)典型的な左右差のある安静時振戦(4~6Hz)がある。
(2)歯車様強剛、動作緩慢、姿勢反射障害のうち2つ以上が存在する。
※2.脳CT又はMRIにおける特異的異常とは、多発脳梗塞、被殻萎縮、脳幹萎縮、著明な脳室拡大、著明な大脳萎縮など他の原因によるパーキンソニズムであることを明らかに示す所見の存在をいう。
※3.薬物に対する反応はできるだけドパミン受容体刺激薬またはL-dopa製剤により判定することが望ましい。
パーキンソニズムについては、「Q.パーキンソニズムのある患者とはどのような疾患、症状になりますか」を参照ください。
【引用】
1)ベサコリン散5%電子添文2023年1月改訂(第1版) 2.禁忌 2.9パーキンソニズムのある患者
2)日本神経学会 パーキンソン病診療ガイドライン2018 p3 [ZZZ-1277]
3)難病情報センター パーキンソン病(指定難病6)
www.nanbyou.or.jp/entry/314 (最終閲覧日:2022年10月6日)
【作成年月】
2023年5月
KW:parkinsonism、