電子添文には、妊婦に関する以下の記載があります。
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.5 妊婦(引用1)
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与すること。
ご参考ですが、「妊娠と授乳(改訂3版)」にはベタヒスチンメシル酸塩について、次の記載があります。(引用2)
●妊娠期
・胎児へ与える影響(流産率、催奇形性)
妊娠初期使用についての情報はほとんどない。現在までに奇形発生との関連を示す報告はなく、動物実験では催奇形性は認められない。
【関連情報】
■生殖発生毒性試験(引用3)
インタビューフォームには、生殖発生毒性について以下の記載があります。
妊娠9~14 日の呑竜系妊娠ラット(体重200g)に、本薬を50、500、2,000mg/kg/日で経口投与したところ、胎児には2,000mg/kg群で死胚、頸椎弓異常、第14肋骨減少等が、500mg/kg群で胸骨核左右非対称、胸骨核化骨遅延、50mg/kg群で胸骨核化骨遅延がみられたが、催奇形作用はみられず、新生児の発育にも影響はなかった。ddN系マウス(体重20g前後)の胎齢7日目から2~3日間50、500、2,500mg/kg/日を経口投与したところ、胎児には、50mg/kg群では頸肋増加、胸骨核化骨遅延、前肢の中節骨数の増加、500mg/kg群では胸骨核化骨減形成、前肢の中節骨数の3 以上のものの増加、後肢中節骨数2以下のもの増加、距骨未化骨数および踵骨未化骨数の増加が認められた。2,500mg/kg 群では前肢中節骨数2以下のものが増加し、後肢中節骨数、距骨未化骨数および踵骨未化骨数が500mg/kg群と同様の傾向が認められた。しかし催奇形性はみられず、新生児の発育にも影響はみられなかった。(引用4)
■めまい治療薬 妊娠・授乳期における医薬品情報
めまいをきたしやすい妊娠期について、原因や対処法に関する下記の記載があります。(引用2)
●妊娠期
妊娠期には精神的不安感の増強、体型変化による背部痛や肩こりの増強により、浮動性めまい(めまい感)をきたしやすい。ビタミンB1(チアミン)の妊娠中勧告食餌許容量は非妊娠女性の1.5倍であり、妊娠悪阻による経口摂取不良はビタミンB1欠乏性脳症 (ウェルニッケ脳症)の原因となる。軽度の症状は歩行時のふらつき (歩行失調) であるが、患者は 「めまい」と訴えることもあり、経静脈的ビタミン剤投与を積極的に行う。妊娠後期は腹囲の増大に伴い迷走神経反射を起こしやすくなるため、立ちくらみ(起立性低血圧)の頻度も増加する。
【引用】
1)メリスロン錠 6mg・12mg電子添文 2023年9月改訂(第2版) 9.特定の背景を有する患者に関する注意 9.5 妊婦
2)薬物治療コンサルテーション 妊娠と授乳(改訂3版) 南山堂 2020年 p559
3)メリスロン錠 6mg・12mgインタビューフォーム 2023年9月改訂(第10版) IX.非臨床試験に関する項目 2.毒性試験 (5)生殖発生毒性試験
4)伊藤 隆太ら:応用薬理 2(4), p344-348 (1968) [MRS-0007](本研究はエーザイ株式会社の支援を受けて実施された。)
【更新年月】
2024年9月