海外では、1960年代にすでに良く知られた副作用として症例報告16,17)されており、今日に至るまで数多くの報告がある。一方、国内で発症した事例は少なく、プロテインC、S欠損症や欠乏症が関与した事例、また、それ以外の要因が関与した事例など、いくつかの症例報告を以下に示す。
1)国内症例
Case 53才男性の患者では、深部静脈血栓症に対してワルファリン投与を開始し、投与数日後より下腿潰瘍を生じ、血液検査でプロテインC欠乏を認めた18)。
Case 82才女性では、肺塞栓症に対してワルファリン投与を開始し、投与8日目に左大腿の紅色皮疹を認め、次第に境界明瞭な皮膚壊死に進展した。外科的処置を行うも全身状態の悪化等で治癒に至らなかった。プロテインC活性はワルファリン投与開始日で38%、紅色皮疹発現時で6%と低値であった19)。
Case 98才女性の患者では、ワルファリン投与を開始し、2週間後に右下腿の皮膚壊死を生じ、一過性のプロテインC活性低下が認められた20)。
Case 49才女性でヘパリン起因性血小板減少症は否定され、先天性プロテインC欠乏症も否定的であった静脈性四肢壊疽を発現した肺癌の症例21)。
2)プロテインC、S欠損症や欠乏症以外の要因が関与した症例
Case 59才男性の急性動脈閉塞症治療中にヘパリン起因性血小板減少症が関与したワルファリン誘因性上肢皮膚壊疽を発症した国内症例22,23)。
Case 67才男性、深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症に対する抗凝固療法中にヘパリン起因性血小板減少症に続いてワルファリン誘因性静脈性四肢壊疽を発現し、ヘパリン及びワルファリン中止とアルガトロバン開始したが、下肢膝上の切断に至った症例24)。
海外においてプロテインC、S欠損症や欠乏症が確認されている症例が多いが、プロテインC、S欠損症や欠乏症以外の要因が関与した事例もいくつか報告されている。
Case ヘパリン起因性血小板減少症と皮膚壊死を併発した症例25,26,27)。
Case 皮膚壊死を生じた第V因子Leiden変異ヘテロ接合体の症例28)。
Case WISNと白血球破砕性血管炎を併発した報告29)。
Case カルシフィラキシスに進行したWISNの症例30)。
Case 皮膚壊死、静脈性四肢壊疽、血栓性微小血管炎を発現した悪性腫瘍の症例31)。
【参考文献】 [文献請求番号]
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20)小松 成綱ら: 日本皮膚科学会第353回北海道地方会, 4(2003) WF-1533
21)玉尾 夏実ら: 第174回日本内科学会近畿地方会, 40(2004) WF-1861
22)中岡 創ら: 心臓, 38, 134(2006) WF-2238
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