• No : 1505
  • 公開日時 : 2017/10/16 00:00
  • 更新日時 : 2019/04/26 18:03
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【ワーファリン】 Ⅷ‐34.その他の医薬品等との相互作用(適正使用情報別冊(Ⅷ 相互作用各論) 第3版 2019年3月更新第9版)

【ワーファリン】  Ⅷ‐34.その他の医薬品等との相互作用(適正使用情報別冊(Ⅷ 相互作用各論) 第3版 2019年3月更新第9版)
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回答


[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]

〔薬効分類 393 習慣性中毒用剤〕


[相互作用の内容]

本剤の作用を増強する。【ジスルフィラムの添付文書に併用注意の記載がある】


[併用時の注意]

本剤投与中の患者には、ジスルフィラムの併用はできるだけ避けるほうがよい。

やむを得ず併用する時は、併用開始時および併用中止時は、血液凝固能検査値の変動に注意すること。

また、ジスルフィラム投与中の患者に本剤を投与する時は、少量から開始し、血液凝固能検査値の変動に注意すること。

 

[相互作用の機序]1,2)

不明。

ジスルフィラムが本剤の肝での代謝を阻害する。

ジスルフィラムが本剤の作用を肝で直接活性化する可能性も考えられる。

 

[相互作用の事例]

<症例報告事例>3)【ワルファリンの作用増強】

ワルファリン服用患者がジスルフィラム併用により出血症状を呈したとの報告や、健康成人8名にワルファリンによる低プロトロンビン血症を誘発させ、ジスルフィラム(500mg/日)を3週間併用したところ、8名の内7名の血中濃度が平均20%上昇し、またプロトロンビン活性も約10%低下したとの報告がある。(海外)

 

<症例報告事例>4)【ワルファリンの作用増強】

52才男性。大動脈弁置換術後にワルファリンとジギタリスの投与を開始した。本症例はアルコール中毒で、転倒、骨折、服薬拒否、離婚、失職などの問題を抱えていた。アルコール中毒治療にジスルフィラム投与を開始した。ジスルフィラム投与開始前2ヵ月はワルファリン12.5mg/日でプロトロンビン時間比19~32%で安定していた。ジスルフィラム投与開始にあたり、ジスルフィラムによるワルファリンの効果が過剰になるのを回避するためワルファリンを5mg/日に減量した。1週後、プロトロンビン時間比は83%となり、ジスルフィラム500mg/日の投与を開始した。17日後、プロトロンビン時間比は24%となり、ジスルフィラムを250mg/日とした。その16日後、プロトロンビン時間比が83%となったのでワルファリンを7.5mg/日、次いで10mg/日に増量した。プロトロンビン時間比はその後約20%に維持されている。(海外)

 

<臨床研究報告>5)【ワルファリンの作用増強】

(研究1)ジスルフィラムを健康成人男子5名に250mg/日、3名に500mg/日で12~20日投与し、4日目にワルファリン1.5mg/kgを経口投与した。ワルファリン単独投与時と比し、ジスルフィラム併用下ではプロトロンビン時間-時間曲線下面積、ワルファリンのAUCとも有意に増大した。ジスルフィラムによるプロトロンビン時間-時間曲線下面積変化量とワルファリンのAUCの変化量は、r=0.91で有意な相関を示した。


(研究2)健康成人男子7名にプロトロンビン時間比が40%近傍になるようにワルファリンを21日間連日経口投与した。ワルファリンは単独またはジスルフィラム500mg/日併用で投与した。ジスルフィラムにより7名中5名でプロトロンビン時間比の有意な低下と血漿ワルファリン濃度の有意な上昇を示した。ジスルフィラム併用によるプロトロンビン活性の低下と血漿ワルファリン濃度変化量は、r=0.94で有意な相関を示した。(海外)

 

 

<臨床研究報告>6)【ワルファリンの作用増強】

健康成人男子7名にR-ワルファリン1.5mg/kgまたはS-ワルファリン0.75mg/kgを単回経口投与した。ワルファリンの各エナンチオマーは単独またはジスルフィラム250mg/日の10~13日連続経口投与の第4日に投与した。R-ワルファリン投与時のプロトロンビン時間-時間曲線下面積、ワルファリンのAUCには、単独投与時とジスルフィラム併用時で有意な差はなかった。一方、S-ワルファリン投与時は、ワルファリンのAUCはジスルフィラム併用による変動は示さなかったものの、プロトロンビン時間-時間曲線下面積はジスルフィラム併用により有意に増大した。(海外)

 

 

【参考文献】    [文献請求番号]
1)Stockley IH: Drug Interactions 5th ed.(Blackwell Scientific Publications, Oxford),        231(1999)    WF-1429
2)USP-DI,22nd ed.,Vol.Ⅰ,        265(2002)    WF-1157
3)Rothstein E: JAMA,    206,    1052(1968)    WF-0854
4)Rothstein E: JAMA,    221,    1052(1972)    WF-2059
5)O’Reilly RA: Ann. Intern. Med.,    78,    73(1973)    WF-2057
6)O’Reilly RA: Clin. Pharmacol. Ther.,    29,    332(1981)    WF-2058 

 

 

 

 

[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]

〔薬効分類 811 あへんアルカロイド系麻薬、821 合成麻薬〕


[相互作用の内容]

不明。


[併用時の注意]

特に注意する必要はないと思われる。

 

[相互作用の機序]

不明。

 

[相互作用の事例]

文献的報告はない。

 

 

 

 

[相互作用を示す薬剤名]


[相互作用の内容]

本剤の作用を減弱したとの報告がある。


[併用時の注意]

十分な情報で評価が確立するまで、一応の注意が必要である。

通常、殺虫剤を大量に吸い込んだりすることはないが、誤飲したり、直接全身に噴霧されたりした時は、下に示すような相互作用を生じるかもしれない。

また、体内に大量に入った殺虫剤は長期に蓄積される可能性が高いので、本剤の効果は長期間にわたり減弱されると考えられる。

このような場合には血液凝固能検査を行い、殺虫剤の影響に注意を払うこと。

 

[相互作用の機序]

塩素系殺虫剤が本剤の肝薬物代謝酵素を誘導する可能性がある。

 

[相互作用の事例]

<症例報告事例>1)【トキサフェン、γベンゼンヘキサクロライドによるワルファリンの作用減弱】

53才男性。羊に殺虫剤(トキサフェン、γベンゼンヘキサクロライド)を噴霧する時期になると、ワルファリンのコントロールができなくなった。通常はワルファリン7.5mg/日でプロトロンビン時間は約24~30秒であったが、殺虫剤使用時期は倍量にする必要があった。塩素系殺虫剤による薬物代謝酵素の誘導からワルファリンの代謝が亢進したものと思われる。(海外)

 

<基礎研究報告>2)【DDTによるワルファリンの作用減弱】

DDT(殺虫剤)を4日間前処置したラットにワルファリンを投与したところ、LD50が10倍以上になった。ワルファリンの代謝酵素を誘導することにより代謝が促進され、急性毒性が減弱するものとの考えられた。

 

 

【参考文献】    [文献請求番号]
1)Jeffery WH et al.: JAMA,    236,    2881(1976)    WF-0701
2)Ikeda M et al.: J. Pharmacol. Exp. Ther.,    162,    338(1968)    WF-0734 

 

 

 


[相互作用を示す薬剤名]


[相互作用の内容]

本剤の作用を減弱する可能性がある。

 

[併用時の注意]

本剤の作用を減弱することがあるので、併用開始時および併用中止時は血液凝固能検査値の変動に十分注意しながら注意すること。

 

[相互作用の機序]

納豆菌が生菌として腸内でビタミンKを産生した場合、ビタミンKによる拮抗作用が生じる。

 

[相互作用の事例]

納豆菌自体の摂取による影響を確認もしくは検討したデータや文献的報告はない。

納豆が本剤の抗凝固作用を減弱することが知られている。(Ⅸ-1「各種食物、嗜好品のビタミンK含有量」の項、Ⅸ-5「ワルファリン療法中の一般的な食事指導(特に納豆、緑黄色野菜)」の項およびⅨ-6「納豆摂取による凝固活性と血中ビタミンKの変動」の項参照)
 

 

【図表あり】