中途覚醒に対する効果について国際共同 303 試験および外国 304 試験において検討し、結果は以下の通りでした。
■国際共同第 III 相プラセボ対照比較試験[国際共同 303 試験](海外データを含む) (引用 1、2、3)
国際共同 303 試験より、睡眠日誌を用いて主観的に評価した投与 6 ヵ月時における中途覚醒時間のベースラインからの変化量(平均値)は、デエビゴ 5mg 群では-51.45 分、10mg 群では-48.12 分であった。ベースラインからの変化量のプラセボ群との差(最小二乗平均値)は、デエビゴ 5mg 群では-17.474 分(p=0.0005)、10mg群では-12.671 分(p=0.0105)であり、プラセボ群と比較して有意な短縮が認められた。
対象: 不眠症患者 949 例(成人[18~64 歳]:687 例、高齢者[65 歳以上]:262 例)
(プラセボ群:318 例、デエビゴ 5mg 群:316 例、デエビゴ 10mg 群:315 例)
日本人 161 例(プラセボ群:54 例、デエビゴ 5mg 群:53 例、デエビゴ 10mg 群:54 例)を含む
<主な組み入れ基準>
・18 歳以上
・ 主観的評価による睡眠潜時(sSOL)が 30 分以上である夜が週に 3 夜以上、かつ/又は主観的評価による中途覚醒時間(sWASO)が 60 分以上である夜が週に 3 夜以上あることが、スクリーニング前 4 週間、導入期前及びベースライン前に確認された患者
・ 通常の総就床時間が 7~9 時間、通常の就床時刻が 21 時~1 時の間、通常の起床時刻が 5 時~10 時の間であることが、スクリーニング期に確認された患者
・ スクリーニング時及びベースライン時に不眠症重症度質問票(ISI)スコアが 15 以上である患者
方法:投与第1期(1~6 ヵ月時)においては、デエビゴ 5mg 群、10mg 群又はプラセボ群のいずれかに無作為に割り付け、1 日1 回、毎晩の就床時刻(眠ろうとする時刻)の直前(5 分以内)に経口投与した。投与第 2 期(7~12 ヵ月時)においては、プラセボ群については 2 回目の無作為化を実施し、デエビゴ 5mg 群又は 10mg 群のいずれかに無作為に割り付けた。投与第1期にデエビゴを投与していた患者については、継続して 6 ヵ月間、同じ用量で本剤を経口投与した。
安全性:投与第1期及び第 2 期(デエビゴ投与例の通算)
副作用発現率は、デエビゴ 5mg 群 26.6%(119/447 例)、10mg 群 29.7%(130/437 例)であった。
主な副作用は、デエビゴ 5mg 群では傾眠 8.3%(37/447 例)、頭痛 4.5%(20/447 例)、疲労 2.7%(12/447 例)、10mg 群では傾眠 13.3%(58/437 例)、頭痛 3.7%(16/437 例)、疲労 3.2%(14/437 例)であった。
重篤な副作用は、投与第1期で発現したデエビゴ 10mg 群の1例(高度の注意力障害)であった。試験期間中、死亡例はなかった。
投与中止に至った有害事象は、デエビゴ 5mg 群 23 例、10mg 群 41 例に認められ、主な有害事象は、デエビゴ 5mg 群では傾眠 7 例、浮動性めまい、頭痛が各 3 例、10mg 群では傾眠 16 例、悪夢 4 例、動悸、転倒、浮動性めまいが各 2例であった。
デエビゴ錠の用法及び用量は以下の通りです。(引用 4)
通常、成人にはレンボレキサントとして1日1 回 5mg を就寝直前に経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日1 回 10mg を超えないこととする。
■海外第III相プラセボ/ゾルピデム ER 対照比較試験[外国 304 試験](海外データ) (引用 5、6、7)
外国 304 試験より、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)を用いて客観的に評価した Day 29/30 における中途覚醒時間のベースラインからの変化量のプラセボ群、ゾルピデム ER※群との差(最小二乗平均値)は、デエビゴ 5mg 群ではそれぞれ-23.96分(p<0.0001)、-7.72分(p=0.0073)、10mg群ではそれぞれ-25.35分(p<0.0001)、-9.10分(p=0.0016)であり、プラセボ群、ゾルピデム ER 群と比較して有意な短縮が認められた。
中途覚醒時間の短縮は、プラセボ群、ゾルピデム ER 群と比較して Day 1/2 において有意に認められ、プラセボ群、ゾルピデム ER 群に対する変化量の差(最小二乗平均値)は、デエビゴ 5mg 群ではそれぞれ-33.40 分(p<0.0001)、-6.16 分(p=0.0154)、10mg 群ではそれぞれ-42.27 分(p<0.0001)、-15.03 分(p<0.0001)であった。
※ゾルピデム ER : ゾルピデム酒石酸塩徐放製剤 (国内未承認薬)
対象:不眠症患者 1,006 例
(プラセボ群:208 例、レンボレキサント 5mg 群:266 例、レンボレキサント 10mg 群:269 例、ゾルピデム ER 6.25mg 群:263 例)
方法: デエビゴ 5mg 群、10mg 群、ゾルピデム ER 6.25mg 群又はプラセボ群のいずれかに 5 : 5 : 5 : 4 の比率で無作為に割り付け、1日1 回、毎晩の就床時刻(眠ろうとする時刻)の直前に 30 日間経口投与した。
安全性: 副作用発現率は、プラセボ群 7.7%(16/209 例)、ゾルピデム ER 群 15.2%(40/263 例)、デエビゴ 5mg 群 11.3%(30/266 例)、10mg 群 14.6%(39/268 例)であった。
主な副作用は、プラセボ群では頭痛 1.9%(4/209 例)、浮動性めまい、傾眠がそれぞれ 1.4%(3/209 例)、ゾルピデムER 群では浮動性めまい 2.7%(7/263 例)、頭痛 2.3%(6/263 例)、傾眠 1.5%(4/263 例)、デエビゴ 5mg 群では傾眠 3.8%(10/266 例)、頭痛 3.4%(9/266 例)、浮動性めまい 0.8%(2/266 例)、10mg 群では傾眠 6.3%(17/268 例)、頭痛 3.0%(8/268 例)、下痢、浮動性めまいがそれぞれ 0.4%(1/268 例)であった。
試験期間中、重篤な副作用及び死亡例はなかった。
投与中止に至った有害事象は、プラセボ群 2 例、ゾルピデム ER 群 7 例、デエビゴ 5mg 群 2 例、10mg 群 3 例に認められ、有害事象は、プラセボ群では口腔腫脹、舌不快感、浮動性めまい、傾眠、寝汗が各 1 例、ゾルピデム ER 群では冠動脈疾患、過敏症、肺炎、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加、γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加、背部痛、傾眠、不安、頻呼吸、末梢血管障害が各 1 例、デエビゴ 5mg 群では認知障害、頭痛、傾眠、悪夢が各 1 例、10mg 群では γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加、頭痛、嗜眠、坐骨神経痛が各 1 例であった。
デエビゴ錠の用法及び用量は以下の通りです。(引用 4)
通常、成人にはレンボレキサントとして 1 日 1 回 5mg を就寝直前に経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、1 日 1 回 10mg を超えないこととする。
【引用】
1)デエビゴ錠 2.5mg・5mg・10mg 総合製品情報概要 臨床成績 5. 国際共同第 III 相プラセボ対照比較試験[国際共同 303 試験(海外データを含む) p14 (DVG1001ESG)
2)国際共同 303 試験(承認時評価資料)[DVG-0016]
3)Kärppä M. et al.: Sleep. 43(9), 1-11, 2020[DVG-0088]
〔利益相反:本論文の著者のうち 7 名は、エーザイ(株)の社員である。著者にエーザイ(株)より資金提供を受領している者が含まれる。〕
4)デエビゴ錠 2.5mg・5mg・10mg 電子添文 2024 年 2 月改訂(第 2 版) 6. 用法及び用量
5)デエビゴ錠 2.5mg・5mg・10mg 総合製品情報概要 臨床成績 5. 海外第III相プラセボ/ゾルピデム ER 対照比較試験[外国 304 試験](海外データ) p24 (DVG1001ESG)
6)外国 304 試験(承認時評価資料)[DVG-0019]
7)Murphy P. et al.: J Clin Sleep Med. 16(5), 765-773, 2020[DVG-0078]
〔利益相反:本論文の著者のうち 3 名は、エーザイ(株)の社員である(過去の在籍者を含む)。著者にエーザイ(株)より資金提供を受領している者が含まれる。〕
【更新年月】
2024年2月