• No : 1492
  • 公開日時 : 2017/10/16 00:00
  • 更新日時 : 2019/04/26 18:15
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【ワーファリン】 Ⅷ‐25.リウマチ治療剤との相互作用(適正使用情報別冊(Ⅷ 相互作用各論) 第3版 2019年3月更新第9版)

【ワーファリン】  Ⅷ‐25.リウマチ治療剤との相互作用(適正使用情報別冊(Ⅷ 相互作用各論) 第3版 2019年3月更新第9版)
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回答


[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]

〔薬効分類 442 刺激療法剤〕


[相互作用の内容]

動物実験でオーラノフィンの急性毒性を増強したとの報告がある。【オーラノフィンの添付文書に併用注意の記載がある】

 

[併用時の注意]

オーラノフィンの急性毒性を増強したとの報告があるので、オーラノフィンの作用増強による臨床症状などの徴候に注意すること。

 

[相互作用の機序]

不明。

 

[相互作用の事例]

文献的報告はない。

 

 

 

 

[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]

〔薬効分類 399 他に分類されない代謝性医薬品〕


[相互作用の内容]

本剤との相互作用はないと考えられる。

 

[併用時の注意]

特に注意する必要はないと思われる。

 

[相互作用の事例]

<臨床研究報告>1)【相互作用なし】

健康成人男子12名に対し試験第1日、ワルファリン25mgを投与した。次いで試験第8、12、15、19、22、26、29日に、エタネルセプト25mgを皮下注し、第29日に再度ワルファリン25mgを投与した。第26日と第29日に検討したエタネルセプトのAUC0-72、最高血漿中濃度、同到達時間、半減期は、ワルファリンによる有意な変動は示さなかった。第1日と第29日に検討したワルファリンのS体、R体のAUC0-∞、最高血漿中濃度、同到達時間、半減期には、いずれも有意な差はなかった。ワルファリン投与後のINRの最大値、INR-時間曲線下面積は、第1日に比し第29日で各々13%、10%の低下を示したが、90%信頼区間は0.8~1.25の間にあり、臨床的に有意な変化とは思われず、用量調節は不要と考えられた。(海外)

 

 

【参考文献】    [文献請求番号]
1)Zhou H et al.: J. Clin. Pharmacol.,    44,    543(2004)    WF-1696 

 

 


 

[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]

〔薬効分類 399 他に分類されない代謝性医薬品〕


 

[相互作用の内容]

本剤の作用を増強する可能性がある。【レフルノミドの添付文書に併用注意の記載がある】


[併用時の注意]

併用開始時および併用中止時は、血液凝固能検査値の変動に十分注意すること。

 

[相互作用の機序]

レフルノミドの活性代謝物A771726がCYP2C9を阻害する。

 

[相互作用の事例]

<症例報告事例>1)【ワルファリンの作用増強】

49才男性。治療抵抗性の関節リウマチで、レフルノミドを導入する投与量として100mg/日で3日間服用した。INRはレフルノミド投与開始2日前には3.4であった。レフルノミドを2回服用した後、血尿を来して入院となった。INRは11に上昇しており、ワルファリンを中止した。ワルファリン中止にも関らず、INRは翌々日まで高値を示した。入院3日目にはビタミンKを1mg静注した。12時間後、INRは1.9となった。レフルノミドを維持用量の20mg/日とし、続いてワルファリンを再開した。ワルファリン1mgで、INRは推奨治療域に維持可能であった。レフルノミドは初回通過効果により速やかに代謝される活性代謝物A771726がCYP2C9を阻害するので、ワルファリンの代謝阻害が影響したと考えられた。(海外)

 

<症例報告事例>2)【ワルファリンの作用増強】

61才女性。再発性の血栓塞栓症と心房細動のため、目標INR2.0~3.0で長期ワルファリン療法を施行中であった。併存する関節リウマチに対しては、メトトレキサート12.5mg/日を2年以上投薬されていたが、メトトレキサートによると思われる重篤な口腔潰瘍を来たしたため、同剤を中止していた。メトトレキサート中止の4ヵ月前~2日後の期間、ワルファリン36mg/週投与でINRは2.6~3.3であった。メトトレキサート中止約2週後よりレフルノミド投与が開始され、最初の3日間は100mg/日、続いて20mg/日が投与された。レフルノミド投与開始の25日後、INRは7.3へと上昇しており、ワルファリンを3日休薬して32mg/週に減量した。INRは1週後には2.0へと低下した。続く10週は目標INR域に達するようにワルファリンの減量を続け、最終的に28mg/週(レフルノミド投与開始前比22%の減量)で安定した。レフルノミドの活性代謝物A771726がCYP2C9を阻害して、S-ワルファリンの代謝が妨げられたと考えられた。(海外)

 

 

【参考文献】    [文献請求番号]
1)Lim V et al.: Br. Med. J.,    325,    1333(2002)    WF-1478
2)Chonlahan J et al.:Pharmacotherapy,    26,    868(2006)    WF-2314

 

 

 

 

[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]

〔薬効分類 399 他に分類されない代謝性医薬品〕


[相互作用の内容]

本剤の作用を増強する。【イグラチモドの添付文書に併用禁忌の記載がある】


[併用時の注意]

患者が本剤による治療を必要とする場合、本剤による治療を優先し、イグラチモドを投与しないこと。

 

[相互作用の機序]

不明

 

 

[相互作用の事例]

<安全性情報>1),2)【ワルファリンの作用増強】

イグラチモド(ケアラム錠及びコルベット錠)では、イグラチモドとワルファリンとの相互作用が疑われる重篤な出血について2013年5月17日に安全性速報が発出された。

イグラチモドでは、販売開始(2012年9月12日)から2013年5月17日までの間に、イグラチモドとワルファリンとの相互作用が疑われる出血又は血液凝固能検査値の異常変動(PT-INR 増加)が9例〔うち、重篤3 例〕報告されている。また、重篤3例のうち1例は、イグラチモドとワルファリンとの相互作用が疑われる肺胞出血による死亡例であった。

このような状況が考慮され、イグラチモドとワルファリンとの併用を「禁忌」とすることとなった。

イグラチモドの安全性情報発出後の聞き取り調査では、販売開始から2013年5月15日までに2,879例にイグラチモドが投与されていた。そのうち42例でワルファリンが併用されており、イグラチモドとワルファリンとの相互作用が疑われる出血又は血液凝固能検査値の異常変動(PT-INR 増加)が12例〔うち、重篤3例(上記死亡例を含む)〕報告されている。イグラチモドとワルファリン併用症例における出血事象及びPT-INR増加の発現頻度は、28.6%であった。

 

<基礎研究報告>3)【ワルファリンの作用増強】

ラットを用いてワルファリンの抗血液凝固作用に及ぼす影響を検討した試験において、イグラチモド(0.3~300 mg/kg)とワルファリン(0.3 mg/kg)を5日間反復経口投与し、最終投与の4時間後に血液凝固能を測定したところ、イグラチモドは10 mg/kg 以上の投与でプロトロンビン時間及び活性化部分トロンボプラスチン時間を延長させ、ワルファリンの抗血液凝固作用を増強した。

 

 

【参考文献】    [文献請求番号]
1)安全性速報(ブルーレター)ケアラム錠/コルベット錠(イグラチモド)とワルファリンとの相互作用2013年5月13-01号
2)医薬品医療機器等安全性情報No.302 P.3
3)社内資料(イグラチモド・ワルファリンとの相互作用)            CRM-0066

【図表あり】