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  • 公開日時 : 2017/10/16 00:00
  • 更新日時 : 2019/04/26 18:17
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【ワーファリン】 Ⅷ‐23.4.その他の腫瘍用薬との相互作用(適正使用情報別冊(Ⅷ 相互作用各論) 第3版 2019年3月更新第9版)

【ワーファリン】  Ⅷ‐23.4.その他の腫瘍用薬との相互作用(適正使用情報別冊(Ⅷ 相互作用各論) 第3版 2019年3月更新第9版)
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回答

(Ⅷ-14「ミトタン」の項、Ⅷ-13「インターフェロン」の項参照)

 

[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]

〔薬効分類 429 その他の腫瘍用薬〕


[相互作用の内容]

本剤の作用を増強したとの報告がある。


[併用時の注意]

抗腫瘍薬は多剤併用による治療が行われるため、本剤の作用に対する影響を把握しにくい。他の抗腫瘍薬の影響なども考慮し、併用開始時および併用中止時は、血液凝固能検査値の変動に注意すること。

また、抗腫瘍用剤による副作用発生(骨髄障害など)にも注意し、出血症状をおこさないよう注意すること。

 

[相互作用の機序]

不明。

 

[相互作用の事例]

<症例報告事例>1)【カルボプラチンによるワルファリンの作用増強】

74才男性。心房細動のためワルファリン 42.5 mg/週を服用中であった。右非精上皮腫を認めたので精巣除摘術をうけた。その6ヵ月後、縦隔に転移を認めたため、カルボプラチン 310 mg、エトポシド 765mgの投与をうけた。この時のINRは2.11であった。その16日後、患者は発熱、下痢、吐気、嘔吐を訴えて入院した。INRは12.6に上昇していた。ワルファリンを中断し、ビタミンK1 1 mgを静注した。翌日、INRは1.61に低下した。2日後、ワルファリン2mg/日の服用を再開した。(海外)

 

<症例報告事例>2)【シスプラチンによるワルファリンの作用増強】

78才男性。肺の腺癌で骨、胸膜、胸壁への転移が認められた。血栓性静脈炎を来たし、抗凝固療法を開始した。また、ビンデシン(5mg)、エトポシド(500mg)、シスプラチン(200mg)による癌化学療法を導入した。ワルファリンは第6、7病日に15mg投与、第8、9病日は休薬、第10、11病日は10mg投与、第12~15病日は5mg投与とし、第10~15病日のプロトロンビン時間は18.0~21.3秒であった。第7病日、ビンデシン+エトポシド+シスプラチンの投与を行っていた。第15病日、ビンデシン+エトポシドを投与した。第16病日、プロトロンビン時間が29秒となり、第16~18病日はワルファリンを休薬した。第19病日、プロトロンビン時間は21.3秒で、ワルファリン2.5mgを第19~22病日に投与した。この間のプロトロンビン時間は21.0~21.3秒であった。第22病日、ビンデシン+エトポシドを投与した。第23病日、プロトロンビン時間が30秒となり、ワルファリンを休薬した。第30病日、プロトロンビン時間は19.5秒で、ワルファリンを2.5mgで再開した。第37病日、ビンデシン+エトポシド+シスプラチンを投与すると、第38病日にはプロトロンビン時間が31.3秒となり、ワルファリンを休薬した。第42病日、癌の進行により化学療法を中止した。第44病日以降はワルファリン2.5mgで抗凝固療法を施行した。(海外)

 

<症例報告事例>3)【ワルファリンの作用増強】

49才男性。悪性リンパ腫にR-CHOP療法無効でR-ESHAP療法(エトポシド、シスプラチン、高用量シタラビン、メチルプレドニゾロン+リツキシマブ)に変更、同治療を3回施行した。初回R-ESHAP療法後の造影CTで深部静脈血栓症、肺塞栓症が見つかり、目標INR 2~2.5でワルファリン3mg/日を開始、8mg/日まで漸増したがINR 0.88で開始11日後、3mg/日に減量しブコローム併用を開始した。次いでワルファリン漸増にて開始20日後INRは目標域となった。第22日INR上昇のためワルファリン減量、2回目のR-ESHAP療法を行った。INR 5.28となり、ワルファリン4日間休薬で2.73に低下した。しかし第34日ワルファリン再開後、INR 6となり、再度休薬した。その後1mg/日で再開、同量維持でINRは治療域となる。3度目のR-ESHAP療法施行後、INR 4.71となった。本症例の遺伝子型はCYP2C9 *1/*1、VKORC1 1173T/Tであった。

 

<症例報告事例>4)【ワルファリンの作用増強】

(症例1)50才女性。卵巣癌、深部静脈血栓症、小脳梗塞、腎梗塞、DICで、癌化学療法後、癌摘除術実施し、深部静脈血栓症、DICにはワルファリン+ヘパリンを投与した。術後イリノテカン(IRT)を第1、8、15日、シスプラチンを第1日に投与する化学療法を4週毎に行った。ワルファリン3.25mg/日で投与し、INR 2.19~2.58で安定していた。イリノテカン+シスプラチン療法1サイクル目、第3日INR 3.43となりワルファリン休薬、翌日3.0mg/日で再開した。第10日のINR 1.5でワルファリン3.25mg/日まで漸増、第24日に2.31となり、第28日まで目標域にあった。イリノテカン+シスプラチン療法2サイクル目第3日にINR上昇にてワルファリンを休薬した。化学療法は無効のため、2サイクルで中止した。


(症例2)43才女性。子宮頸癌再発、肝転移で摘除術を行い、癌化学療法を4サイクル行った。また、肺塞栓症予防に目標INR 1.2~1.5とした。次いで化学療法をイリノテカン+シスプラチンに症例1変更した。イリノテカン+シスプラチン療法の前はINR 1.17~1.22であったが、2サイクル目第3日にINR 1.77、第8日に1.88と上昇、第15日に1.22となった。3、4サクル目も同様に第3日にINR上昇を示した。両症例ともシスプラチン投与後数日間は悪心、食欲不振、摂食量低下があった。

 

 

【参考文献】    [文献請求番号]

1)Le AT et al.: Ann. Pharmacother.,    31,    1006(1997)    WF-1030

2)Ward K et al.: Cancer Treat. Rep.,    68,    817(1984)    WF-0434

3)Suzuki,Takaaki et al.: Clin.Ther.,     30,     1155 (2008)    WF-2891

4)Yano,Ryoichi et al.: Ann.Pharmacother.,     45,     e55-1 (2011)    WF-3706

 

 

 

 

[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]

〔薬効分類 429 その他の腫瘍用薬〕


[相互作用の内容]

本剤の作用を増強する可能性がある。

【タモキシフェン、トレミフェンの添付文書に併用注意の記載がある】


[併用時の注意]

本剤投与中の患者にタモキシフェンを併用する場合、本剤の投与量を半分以下に減量する必要があると思われる1)。

併用開始時および併用中止時は、血液凝固能検査値の変動に十分注意し、必要に応じて本剤の用量調節を行うこと。

いずれにしても重篤な相互作用が起きる可能性があるので慎重に投与すること。

 

[相互作用の機序]1)

不明。

 

[相互作用の事例]

<症例報告事例>2)【タモキシフェンによるワルファリンの作用増強】

43才女性。深部静脈血栓症にワルファリン5mg/日を投与し、プロトロンビン時間は約19秒程度にコントロールされていた。タモキシフェン40mg/日の併用を開始したところ、翌日プロトロンビン時間が38秒にまで延長し、ワルファリンを1mg/日に減量した。また、同病院でワルファリンとタモキシフェンの相互作用を調査したところ、両剤を併用した患者のうち2例にプロトロンビン時間の延長が見られ重篤な出血症状を呈した。(海外)

 

 

<症例報告事例>3)【タモキシフェンによるワルファリンの作用増強】

ワルファリンの長期投与患者で27~28.5mg/週で安定してコントロールされていたが、タモキシフェン20mg/日を服用開始したところ、4日目のプロトロンビン時間は39秒、3週後には75.6秒、6週後には206秒まで延長し、血尿が生じた。(海外)


 

【参考文献】    [文献請求番号]
1)Stockley IH: Drug Interactions 5th ed.(Blackwell Scientific Publications, Oxford),        262(1999)    WF-1439
2)Tenni P: Br. Med. J.,    298,    93(1989)    WF-0600
3)Lodwick R et al.: Br. Med. J.,    295,    1141(1987)    WF-0491

 

 

 

 

[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]

〔薬効分類 429 その他の腫瘍用薬〕


[相互作用の内容]

本剤の作用を増強する可能性がある。

【フルタミド、ビカルタミドの添付文書に併用注意の記載がある】


[併用時の注意]

併用開始時および併用中止時は、血液凝固能検査値の変動に十分に注意し、必要に応じて本剤の用量調節を行うこと。

 

[相互作用の機序]

不明。

 

 

[相互作用の事例]

<症例報告事例>1)【ワルファリンの作用増強】

フルタミドの併用によりプロトロンビン時間延長を示し、ワルファリンを35mg/週から22.5mg/週に減量した。(海外)

 

 

【参考文献】    [文献請求番号]
1)Stockley IH: Drug Interactions 5th ed.(Blackwell Scientific Publications, Oxford),        237(1999)    WF-1431

【図表あり】