[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]
〔薬効分類 394 痛風治療剤〕
[相互作用の内容]
本剤の作用を増強する可能性がある。【アロプリノールの添付文書に併用注意の記載がある】
[併用時の注意]
相互作用の発生頻度はそれほど多くはないと思われる。
併用開始時および併用中止時は、血液凝固能検査値の変動に注意し、必要に応じて本剤の用量調節を行うこと。
[相互作用の機序]1,2)
アロプリノールが本剤の肝薬物代謝酵素を阻害する。
[相互作用の事例]
<症例報告事例>1)【ワルファリンの作用増強】
50才男性。ワルファリン5mg/日で安定した抗凝固効果を得ていた。痛風治療のためアロプリノール100mg/日の投与を開始した。併用開始2日後にプロトロンビン時間比が42%増加した。(海外)
<臨床研究報告>3)【相互作用なし】
健康成人男子6名にアロプリノール300mg/日を28日間投与した。アロプリノール投与前と投与開始29日後にワルファリン50mgを単回投与した。6名中1名でワルファリンの消失速度定数が有意に低下したが、全体ではワルファリンの消失速度定数、クリアランスに有意な変化はなかった。
また、僧帽弁疾患でワルファリン投与中の2例に、アロプリノール300mg/日を21日間投与したが、ワルファリンの血漿中濃度、プロトロンビン時間に変動はなかった。(海外)
<臨床研究報告>4)【相互作用なし】
健康成人男子における検討で、アロプリノールはワルファリンの血漿外排泄に影響を及ぼさなかった。(海外)
<臨床研究報告>5)【ジクマロールの半減期延長】
健康成人男子6名にアロプリノール2.5mg/kgを1日2回14日間経口投与し、アロプリノール投与前と最終服薬24時間後にジクマロール4mg/kgを経口投与した。ジクマロールの半減期は、アロプリノール投与前の51.0時間から投与後には152.5時間へと有意に延長した。また、アロプリノールにより4例でジクマロールのみかけの分布容積が増大した。(海外)
【参考文献】 [文献請求番号]
1)Barry M et al.: Clin. Pharmacokinet., 19, 167(1990) WF-0569
2)USP-DI,22nd ed.,Vol.Ⅰ, 265(2002) WF-1157
3)Rawlins MD et al.: Br. J. Pharmacol., 48, 693(1973) WF-0855
4)Pond SM et al.: Aust NZ J. Med., 5, 324(1975) WF-0856
5)Vesell ES et al.:N. Engl. J. Med., 283, 1484(1970) WF-1333
[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]
〔薬効分類 214 痛風治療剤〕
[併用時の注意]
コルヒチンとワルファリンは、相互作用というよりは、コルヒチンによる出血性の副作用(胃潰瘍出血、また長期投与による骨髄障害、過量投与による血管内皮障害)を生じる可能性があることから、ワルファリンとの併用時には注意を要するとされている。
[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]
〔薬効分類 394 痛風治療剤〕
[相互作用の内容]
本剤の作用を増強する。
[相互作用の機序]1,2,3,4)
スルフィンピラゾンが本剤の肝薬物代謝酵素(CYP2C9)を阻害する。
スルフィンピラゾンが本剤を血漿蛋白から遊離させる。
スルフィンピラゾンの血小板凝集抑制作用による。
[相互作用の事例]
<症例報告事例>5,6)【ワルファリンの作用増強】
ワルファリンとスルフィンピラゾンの併用で、ワルファリンの作用が増強されたとの症例報告がある。出血を来たした例、ビタミンK投与を要した例も報告されている。(海外)
<臨床研究報告>4)【ワルファリンの作用増強】
健康成人男子6名において、スルフィンピラゾンはR-ワルファリンの作用を減弱し、薬理活性の高いS-ワルファリンの作用を増強した。(海外)
<臨床研究報告>7,8)【ワルファリンの作用増強】
ワルファリン療法施行中の患者にスルフィンピラゾン800mg/日を併用したところ、プロトロンビン時間が延長したとの臨床研究報告がある。(海外)
<基礎研究報告>1)【ワルファリンの代謝阻害】
ヒト肝ミクロソームを用いた実験で、スルフィンピラゾンおよびその代謝物はS-ワルファリンの7位水酸化を競合的に阻害した。
【参考文献】 [文献請求番号]
1)He M et al.: Drug Metab. Dispos., 23, 659(1995) WF-1355
2)USP-DI,22nd ed.,Vol.Ⅰ, 265(2002) WF-1157
3)Stockley IH: Drug Interactions 5th ed.(Blackwell Scientific Publications, Oxford), 261(1999) WF-1438
4)Toon S et al.: Clin. Pharmacol. Ther., 39, 15(1986) WF-0281
5)Nenci GG et al.: Br. Med. J., 282, 1361(1981) WF-0223
6)Thompson PL et al.: Med. J. Aust., 1, 41(1981) WF-1344
7)Miners JO et al.: Eur. J. Clin. Pharmacol., 22, 327(1982) WF-0456
8)Girolami A et al.: Clin. Lab. Haematol., 4, 23(1982) WF-0186
[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]
〔薬効分類 394 痛風治療剤〕
[相互作用の内容]
本剤の作用を増強する可能性がある。【プロベネシドの添付文書に併用注意の記載がある】
[併用時の注意]
特別警戒する必要はないと思われる。
[相互作用の機序]1)
本剤の排泄速度を低下させる。
[相互作用の事例]
<臨床研究報告>2)【フェンプロクモンの排泄促進】
健康成人9名に、まず、フェンプロクモン0.22mg/kgを単回経口投与し、7日間に渡り体内薬物動態の検討をした。3週間のウォッシュアウト後、同量のフェンプロクモンを単回投与し、加えてプロベネシド500mgを1日4回7日間投与して、プロベネシドがフェンプロクモンの体内薬物動態に与える影響を検討した。プロベネシドにより、フェンプロクモンのAUCは有意に減少、消失半減期は有意に短縮、非腎クリアランスは有意に上昇した。又、尿中抱合体排泄、非抱合体排泄、グルクロン酸抱合体クリアランスは有意に低下した。プロベネシドがグルクロン酸抱合や腎尿細管分泌・再吸収を阻害して、フェンプロクモンの排泄が速まると考えられる。なお、プロベネシドはフェンプロクモンの抗凝固効果には有意な影響を与えなかった。(海外)
【参考文献】 [文献請求番号]
1)Formiller M et al.: Am. J. Hosp. Pharm., 26, 574(1969) WF-1450
2)Monig H et al.: Eur. J. Clin. Pharmacol., 39, 261(1990) WF-1449
[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]
〔薬効分類 394 痛風治療剤〕
[相互作用の内容]
本剤の作用を増強することがある。【ベンズブロマロンの添付文書に併用注意の記載がある】
[併用時の注意]
出血症状を呈することがあり、相互作用の頻度も高いと考えられる。
併用開始時および併用中止時は、血液凝固能検査値の変動に十分注意し、必要に応じて本剤の用量調節を行うこと。
また、出血等の臨床症状にも注意すること。
[相互作用の機序]1)
ベンズブロマロンが本剤の肝薬物代謝酵素(CYP2C9)を阻害する。
[相互作用の事例]
<症例報告事例、臨床研究報告>2)【ワルファリンの作用増強】
58才男性。僧帽弁置換術後、ワルファリン4mg/日を投与して、トロンボテスト値は20%前後で安定していた。痛風のため、ベンズブロマロン50mg/日の投与を開始した。併用開始時、ワルファリンは2.5mg/日に減量した。1週後のトロンボテスト値は8%で、ワルファリンを1.5mg/日に減量した。その1週後、トロンボテスト値は5%となり、両剤を中止した。2日後吐血し、ビタミンK2と止血剤を投与した。トロンボテスト値が100%に回復した後、ワルファリン投与を再開した。
ワルファリンとベンズブロマロンを併用している患者8例にて、ベンズブロマロン投与を1週間中止した。両剤併用時と比べ、ベンズブロマロン中止1週後にはトロンボテスト値と第Ⅱ因子活性が有意に上昇し、PIVKA-Ⅱ値と血漿ワルファリン濃度が有意に低下した。
<臨床研究報告、基礎研究報告>1)【ワルファリンの作用増強】
(研究1)ワルファリン服用患者18例とワルファリンとベンズブロマロン50 mg/日併用患者13例の服用約14時間後の血中ワルファリン濃度、血中ワルファリンの遊離率、2時間尿中7-水酸化S-ワルファリン濃度を測定した。単独群と併用群のINRには有意な差はなかったが、ワルファリン服用量は併用群が単独群より36%少なかった。併用群のS-ワルファリンの7位水酸化(CYP2C9活性の指標)、遊離形S-ワルファリンの全身クリアランスは、各々単独群より65%、53%の有意な低下を示した。
(研究2)ヒト肝ミクロソーム、ヒトCYP2C9発現酵母ミクロソームを用い、S-ワルファリンの7-位水酸化に及ぼすベンズブロマロンの影響を検討した。ワルファリンとベンズブロマロンの相互作用の機序はCYP2C9の競合的阻害と考えられた。
【参考文献】 [文献請求番号]
1)Takahashi H et al.:Clin. Pharmacol. Ther., 66, 569(1999) WF-1233
2)工藤 龍彦ら: 日本血栓止血学会誌, 6, 119(1995) WF-0832