[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]
〔薬効分類 255 痔疾用剤〕
[相互作用の内容]
本剤の作用を増強する可能性がある。
【トリベノシド、トリベノシド・リドカインの添付文書に併用注意の記載がある】
[併用時の注意]
本剤投与中の患者が痔になった時は、トリベノシドよりはできるだけ局所痔疾用剤を用いる方がよいと思われる。
やむを得ず併用する時は、血液凝固能検査値の変動に注意すること。
また、出血などの臨床症状(特に痔患部)に注意すること。
[相互作用の機序]
トリベノシドの循環障害改善作用による。
[相互作用の事例]
ラットによるプロトロンビン時間を指標とした実験で、トリベノシドはジクマロールの作用を増強したとの報告がある。
[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]
〔薬効分類 259 その他の泌尿生殖器官及び肛門用薬〕
[相互作用の内容]
本剤の作用を増強したとの報告がある。
[併用時の注意]
十分な情報で評価が確立するまで、一応の注意が必要である。
併用開始時および併用中止時は、血液凝固能検査値の変動に注意すること。
[相互作用の機序]
不明。
トルテロジンはCYP2D6、CYP3A4で代謝される。
[相互作用の事例]
<症例報告事例>1)【ワルファリンの作用増強】
(症例1)72才男性。ワルファリン5mg/日で、INRは2.0~3.3。レボフロキサシン併用時、一過性にINRが3.8となり、ワルファリンを1回休薬した。レボフロキサシン終了1週後、トルテロジン2mg/日投与を開始。翌日、INRは3.1。14日後、INRは6.1。トルテロジンは、開始13日後、患者の自己判断で中止されていた。ワルファリンは3日休薬とし、INRが1.2となった時点で再開。その後はワルファリン5mg/日で、INRは1.8~2.5。
(症例2)83才男性。ワルファリン5mg/日で、目標INRは1.5~2.0。INRが7.4に上昇し、原因調査で、10日前より2日前までトルテロジン2mg/日が投与されていたことが判明。ワルファリンを休薬。INR1.8となった時点で、ワルファリンを5mg/日で再開。その後のINRは1.8~2.5。(海外)
<症例報告事例>2)【ワルファリンの作用増強】
53才女性。11年前に肺塞栓症を伴う深部静脈血栓症を発症して以降、目標INR2.0~3.0でワルファリンを投与中であった。ワルファリンは22.5mg/週でINRの安定をみていたが、1ヵ月後には特筆すべき事由なくINRが1.3となった。この際、活動性の性器出血が認められたのでワルファリン量は不変とした。この3日後のINRは1.7であったので、ワルファリンを25mg/週に増量した。続く1ヵ月は、ワルファリン投与量の増減に伴いINRは1.7~3.1で変動した。約3週後、INRは3.7でワルファリンを23.75mg/週に減量し、同時に過活動膀胱に対しトルテロジン徐放製剤4mg/日の投与が開始された。この16日後、ワルファリンは22.5mg/週に減量されていたにも関わらずINRが3.9へと上昇しており、ワルファリンを21.25mg/週に減量した。その9日後、トルテロジン継続投与下にINRは2.9となった。続く5ヵ月間はトルテロジン併用下にワルファリン20~21.25mg/週でINRは2.7~3.2に維持されている。(海外)
<臨床研究報告>3)【相互作用なし】
健康成人男子20名に対し、無作為二重盲検クロスオーバー法(ウォッシュアウト14日間)にて、トルテロジン2mg 1日2回またはプラセボを7日間投与し、各投与期の第4日にワルファリン25mgを単回経口投与して、96時間後まで経時的に採血を行った。プロトロンビン時間-時間曲線下面積、第Ⅶ因子活性-時間曲線下面積、S-ワルファリンとR-ワルファリンの最高血漿中濃度、同到達時間、AUC、経口クリアランスには、何れもトルテロジン併用期とプラセボ期の間に有意な差はなかった。S-ワルファリン、R-ワルファリン共に、最終相半減期はトルテロジン投与期において、プラセボ期に比し有意に延長したが、変動は10%未満であり、臨床的には問題ないと考えられた。プロトロンビン時間、第Ⅶ因子活性、S-ワルファリンとR-ワルファリンの血漿中濃度の時間的推移は、トルテロジン投与期とプラセボ期で極めて近似していた。トルテロジン投与3日目(トルテロジン単独投与時)と4日目(ワルファリン併用時)のトルテロジン体内薬物動態には差はなく、ワルファリンはトルテロジンの体内動態に無影響であった。(海外)
【参考文献】 [文献請求番号]
1)Colucci VJ et al.: Ann. Pharmacother., 33, 1173(1999) WF-1543
2)Taylor JR : Pharmacotherapy, 26, 719(2006) WF-2282
3)Rahimy M et al.:Arzneim. Forsch., 52, 890(2002) WF-1497