• No : 18628
  • 公開日時 : 2023/06/19 18:07
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【ワーファリン】 PT-INRが大幅に上昇する要因を教えてください。

【ワーファリン】 
 
PT-INRが大幅に上昇する要因を教えてください。
 
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回答

ワーファリン投与患者において、PT-INRが大幅に上昇する主な要因として以下が考えられます。
 
1.薬物相互作用、食品など
■ワーファリンの効果を増強する相互作用のある薬物の投与(引用1) 
併用注意の薬剤との併用により、本剤の作用が増強し、重篤な出血に至ったとの報告がある。本剤の作用増強が進展あるいは持続しないように十分注意し、適切な治療域へ用量調節すること。 (引用2)
■ビタミンKの摂取不足
 
2.特定の既往・合併症などの背景を有する患者
■高齢者(引用3)
一般に、高齢者は成人と比べ体内薬物動態(吸収、分布、代謝、排泄)に相違が見られることが多い。それに伴って血漿蛋白の減少、肝での薬物代謝および腎排泄の遅延、肝でのビタミンK 依存性凝固因子合成能の低下などの加齢による生理的現象も生じており、高齢者でのワルファリンの投与量は一般成人と比べ、少なくなると思われる。
■肝疾患患者(引用4)
肝疾患患者では、ワルファリンの感受性が増加していると思われる。
理由として、以下の点が考えられる。
1)肝疾患では肝で産生されるビタミンK依存性血液凝固因子の合成能が低下していること。
2)ワルファリンの代謝は肝で行われるため、肝疾患ではその代謝が低下すること。
3)閉塞性黄疸、胆道瘻では、胆汁中へのワルファリンの排泄障害や胆汁分泌不全による消化管からのビタミンK吸収障害を伴うため。
■腎疾患患者(引用5)
ワルファリンは体内からの排泄速度が遅いため腎障害があるとさらに排泄が遅延し、作用が長時間持続するので出血の危険が増大する可能性があるとの報告がある。従って腎疾患患者にワルファリンを投与するときは、通常より慎重に投与すること。重篤な腎障害患者は投与禁忌に設定している。
■下痢、脂肪の吸収不全、(引用6)
脂肪の吸収不全(下痢を含む)ではビタミンKの吸収が低下する。
■うっ血性心不全(引用6)
うっ血性心不全では肝代謝酵素活性低下により、また肝のうっ血が進行し凝固因子の産生が低下することによりワルファリンの感受性が亢進する。
■悪性腫瘍の患者(引用7)
悪性腫瘍の患者では、血液凝固能の亢進により血栓傾向となる一方で、腫瘍関連出血を生じることがある。また、全身状態や摂食状況の変化に伴う血液凝固能の変動を生じることがある。
■甲状腺機能亢進症の患者(引用8)
甲状腺機能異常の患者では、病態の変化又は治療過程で甲状腺機能が正常化し、血液凝固能が変化することがある。その結果として本剤の作用が見かけ上減弱、又は増強するおそれがある。
 
3.その他
■CYP2C9 の遺伝子多型を有する患者(引用9)
患者のワルファリンに対する適応力に余裕がない場合として、少量の用量変更でも血液凝固能が大きく変動する場合がある。近年明らかになってきた CYP2C9 の遺伝子多型などを把握できる患者の場合は、その背景情報は重要と考えられる。クリアランスが 1/3~1/10 などとなるため、少量でも反応することが予測される。
 

【引用】
1)ワーファリン錠0.5mg・ワーファリン錠1mg・ワーファリン錠5mg・ワーファリン顆粒0.2%電子添文 2019年7月改訂(第1版) 10.相互作用
2)ワーファリン錠0.5mg・ワーファリン錠1mg・ワーファリン錠5mg・ワーファリン顆粒0.2%電子添文 2019年7月改訂(第1版) 8.重要な基本的注意 8.2
3)Warfarinの適正使用情報改訂版<本編> 2020年2月発行 P204 [CODE DI-J-789]
4)Warfarinの適正使用情報改訂版<本編> 2020年2月発行 P206 [CODE DI-J-789]
5)Warfarinの適正使用情報改訂版<本編> 2020年2月発行 P210 [CODE DI-J-789]
6)Warfarinの適正使用情報改訂版<本編> 2020年2月発行 P383 [CODE DI-J-789]
7)ワーファリン錠0.5mg・ワーファリン錠1mg・ワーファリン錠5mg・ワーファリン顆粒0.2%電子添文 2019年7月改訂(第1版) 9.特定の背景を有する患者に関する注意 9.1.2悪性腫瘍の患者
8)ワーファリン錠0.5mg・ワーファリン錠1mg・ワーファリン錠5mg・ワーファリン顆粒0.2%電子添文 2019年7月改訂(第1版) 9.特定の背景を有する患者に関する注意 9.1.4甲状腺機能亢進症、又は甲状腺機能低下症の患者
9)Warfarin の適正使用情報改訂版<本編> 2020 年2 月発行 P181 [CODE DI-J-789]
 
【作成年月】
2023年6月
 

 
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