[相互作用の内容]
本剤の作用を減弱する。【グリセオフルビンの添付文書に併用注意の記載がある】
[併用時の注意]
併用開始時および併用中止時は、血液凝固能検査値の変動に注意し、必要に応じて本剤の用量調節を行うこと。
[相互作用の機序]1)
グリセオフルビンが肝で本剤の薬物代謝酵素を誘導する。
[相互作用の事例]
<症例報告事例>2)【ワルファリンの作用減弱】
心筋梗塞後及び僧帽弁置換術後にワルファリンを投与し、プロトロンビン時間は治療域で安定している患者2例に、グリセオフルビンを投与したところ、著しい抗凝固活性の低下を示した。30才の健康男子にワルファリンとグリセオフルビンを投与したところ、グリセオフルビン1g/日では無影響だが、2g/日に増量したら、ワルファリンの作用が著しく減弱した。26才の健康男子では、グリセオフルビンによるワルファリンの作用減弱は認めなかった。(海外)
<症例報告事例>3)【ワルファリンの作用減弱】
61才男性。僧帽弁置換術後にワルファリンを投与し、8~8.5mg/日でプロトロンビン時間はコントロールの1.6~2倍にコントロールされていた。グリセオフルビン500mg/日の併用投与開始1週以内に、プロトロンビン時間がコントロールの1.5倍に低下し、ワルファリンを10mg/日に増量して十分な効果を得た。グリセオフルビン開始13週後、プロトロンビン時間は1.3倍まで低下し、ワルファリンを12mg/日に増量した。グリセオフルビン開始21週後、グリセオフルビンを250mg/日に減量したところ、徐々にプロトロンビン時間が延長し、減量の9週後にはコントロールの2.3倍に達した。ワルファリンを10mg/日に減量してプロトロンビン時間は1.6~1.8倍で維持された。(海外)
<臨床研究報告>4)【ワルファリンの作用減弱】
心血管系の疾患でワルファリンを4週以上投与されていて、投与量が安定している26例の内、10例にグリセオフルビン1g/日を2週間投与した。4例で平均4.2秒のプロトロンビン時間短縮を示した。10例の平均値では有意な変化はなかった。(海外)
<基礎研究報告>1)【連続投与によるワルファリンの代謝亢進】
ラットにワルファリン5mg/kgとグリセオフルビン100mg/kgを単回併用投与した際のプロトロンビン時間は、ワルファリン単独投与時に比し有意に延長した。他の実験結果と併せ、グリセオフルビン投与開始時はグリセオフルビンがワルファリンの代謝を阻害し、連続投与ではワルファリンの代謝酵素を誘導してワルファリン代謝が亢進すると示唆された。
【参考文献】 [文献請求番号]
1)Matsumura Y et al.: J. Int. Med. Res., 27, 167(1999) WF-1232
2)Cullen SI et al.: JAMA, 199, 582(1967) WF-0860
3)Okino K et al.: Drug Intell. Clin. Pharm., 20, 291(1986) WF-0288
4)Udall JA: Clin. Med., 77, 20(1970) WF-1331