[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]
〔薬効分類 615 主としてグラム陽性・陰性菌、リケッチア、クラミジアに作用するもの〕
[相互作用の内容]
本剤の作用を増強する。【クロラムフェニコールの添付文書に併用注意の記載がある】
[併用時の注意]
併用開始時および併用中止時は、血液凝固能検査値の変動に十分に注意し、必要に応じて本剤の用量調節を行うこと。
本剤投与中の患者での低プロトロンビン血症は抗生物質によっても増強されることを念頭におかねばならない。(Ⅷ-26「セフェム系抗生物質」の項参照)
[相互作用の機序]1,2,3)
・本剤の代謝を阻害する。
・肝でのプロトロンビン合成を阻害する。
・ビタミンK産生腸内細菌を抑制してビタミンK産生を抑制する。
・腸管からのビタミンK吸収を阻害する。
[相互作用の事例]
<症例報告事例>4)【クロラムフェニコールによるワルファリンの作用増強】
83才女性。ワルファリン、ジゴキシン、アミロリド、ヒドロクロロチアジドを投与中で、INRは1.9~2.8で安定していた。白内障手術後にクロラムフェニコール、デキサメタゾン、テトラヒドロゾリンの点眼投与を行った。11日後にINRが8.92に上昇し、点眼薬を中止した。クロラムフェニコールによるワルファリンの作用増強と考えられた。(海外)
<臨床研究報告>1)【クロラムフェニコールによるジクマロールの半減期延長】
ジクマロール投与中の4例の患者にクロラムフェニコールを2g/日で総投与量11.5~15gを投与した。ジクマロールの半減期は、クロラムフェニコール投与前の5.5~13.25時間から14.75~39時間へと、全例で著しく延長した。(海外)
<基礎研究報告>5)【クロラムフェニコールによるワルファリンの排泄低下】
ラットにおいて、クロラムフェニコールはワルファリンのクリアランス、消失速度定数を低下させた。
[クロラムフェニコールによる血液凝固能異常の事例]
<症例報告事例>6)【クロラムフェニコールによる低プロトロンビン血症】
クロラムフェニコールと他の抗生物質との併用でプロトロンビン値10%未満を認め、ビタミンK1静注、輸血を要する出血を発現した症例が報告されている。(海外)
【参考文献】 [文献請求番号]
1)Christensen LK et al.: Lancet, 7635, 1397(1969) WF-1313
2)USP-DI,22nd ed.,Vol.Ⅰ, 265(2002) WF-1157
3)Stockley IH: Drug Interactions 5th ed.
(Blackwell Scientific Publications, Oxford), 210(1999) WF-1424
4)Leone R et al.: Ann. Pharmacother., 33, 114(1999) WF-1134
5)Yacobi A et al.: J. Pharmacol. Exp. Ther., 231, 80(1984) WF-1312
6)Klippel AP et al.: Arch. Surg., 96, 266(1968) KTZ-0568