[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]
〔薬効分類 232 消化性潰瘍用剤〕
[相互作用の内容]
本剤の作用を増強する。【シメチジンの添付文書に併用注意の記載がある】
[併用時の注意]
相互作用により、出血症状を呈した症例も多いため、できるだけ併用を避ける方がよい。
やむを得ず併用する時は、シメチジンの併用開始時、併用中止時および用量変更時は、血液凝固能検査を頻回に(2~3回/週)行い注意深く監視する。
[相互作用の機序]1,2,3)
シメチジンが本剤の肝薬物代謝酵素(CYP1A2、CYP2C9、CYP3A4等)を阻害する。
[相互作用の事例]
<臨床研究報告>1)【ワルファリンの作用増強】
健康成人8名にワルファリン25mgとプラセボまたはシメチジン800mgを併用投与し、ワルファリンの尿中代謝物を測定し、クリアランスを求めた。シメチジンはワルファリンの代謝を阻害した。(海外)
<症例報告事例>4)【ワルファリンの作用増強】
ワルファリン6mg/日で安定したコントロールを得ていた患者に、シメチジン300mg1日3回投与を開始した。数日後、18~26秒だったプロトロンビン時間が51秒にまで延長した。(海外)
<臨床研究報告>2)【R-ワルファリンの代謝阻害】
健康成人8名をワルファリン15mg/日単独投与群とシメチジン1000mg/日併用投与群の2群に分け、R-ワルファリンとS-ワルファリンの体内薬物動態を比較検討した。シメチジン併用で、薬理活性の低いR-ワルファリンのAUCが増加、半減期が有意に延長し、クリアランスは有意に低下した。R-ワルファリン代謝がシメチジンにより阻害されると示唆された。一方、薬理活性がR体より3~5倍高いS-ワルファリンの代謝は、シメチジンの影響を受けなかった。(海外)
<臨床研究報告>3)【R-ワルファリンの代謝阻害】
健康成人男子8名にシメチジン800mg/日またはプラセボを9日間投与し、第4日目にワルファリン25mgを投与した。シメチジンの併用は抗凝固活性には有意な影響を与えなかった。シメチジン併用時はプラセボ併用時に比し、薬理活性の低いR-ワルファリンの半減期が39.6hrから53.4hrに有意に延長し、AUCを55.2mg・hr/Lから69.7mg・hr/Lへと有意に増大し、クリアランスを233.8mL/hrから187.3mL/hrへと有意に低下させたが、薬理活性がR体の3~5倍高いS-ワルファリンの体内動態には有意な影響を与えなかった。
健康成人男子5名にワルファリン10mgを単独またはシメチジン1000mg/日8日間投与の第4日目に投与した。シメチジンによりR-ワルファリンの半減期は有意に延長し、クリアランスは有意に低下したが、S-ワルファリンは有意な影響を受けなかった。(海外)
<臨床研究報告>5)【ワルファリンの作用増強】
安定した長期ワルファリン療法施行中の14例にシメチジン300mgを1日4回10日間経口投与した。ワルファリン投与量は一定とした。シメチジン併用によりプロトロンビン時間が30秒以上延長した7例をresponder、プロトロンビン時間変動が小さかった7例をnon-responderとした。ワルファリン血漿中濃度は、シメチジン併用前はresponderとnon-responderで差がなかったが、シメチジン併用後はresponderでnon-responderに比し有意に高値を示した。ワルファリンの血漿クリアランスは、シメチジン投与前はresponderとnon-responderで有意差はなかったが、シメチジン併用後はresponderではnon-responderに比し有意に低かった。Responderにおけるシメチジンによる抗凝固効果の増強は、24~144時間後に発現した。両群のワルファリン代謝産物には、差はなかった。(海外)
<臨床研究報告>6)【R-ワルファリンの代謝阻害】
健康成人男子9名にクロスオーバー法にてシメチジン800mg/日またはプラセボを1日1回9日間経口投与した。各治療期第4日の服薬1時間後、ワルファリン(ラセミ体)25mgを単回経口投与した。ワルファリン投与後のプロトロンビン時間-時間曲線下面積0-144、第Ⅶ因子凝固時間-時間曲線下面積0-144は、プラセボ投与時と比しシメチジン投与時に有意な変化は示さなかった。シメチジンは、S-ワルファリンの体内動態には影響しなかったが、薬理活性の低いR-ワルファリンのAUC0-144を有意に増大させ、半減期を有意に延長し、クリアランスを有意に低下させた。R-ワルファリンの分布容積には、シメチジンによる有意な影響はなかった。(海外)
<臨床研究報告>7)【ワルファリンの作用増強】
健康成人男子11名に対し、ワルファリン(ラセミ体)1.5mg/kgを単独またはシメチジン300mg 1日4回経口投与の第4日に併用にて、単回経口投与した。シメチジン併用により、ワルファリン単独期と比しワルファリンのAUC、プロトロンビン時間-時間曲線下面積は有意に増大し、ワルファリンの半減期は延長した。(海外)
<臨床研究報告>8)【ワルファリンのクリアランス低下】
健康成人男子5名に対し、ワルファリン10mgを単独またはシメチジン200mg 1日3回+400mg就寝前12日間投与の第8日朝に併用にて単回経口投与した。ワルファリンの経口クリアランスは、シメチジンにより有意に低下した。ワルファリンの半減期には有意な変化はなかった。(海外)
<臨床研究報告>9)【R-ワルファリンの代謝阻害】
健康成人7名に対しS-ワルファリン15mgまたはR-ワルファリン15mgを単回経口投与した。ワルファリンの各エナンチオマーは単独またはシメチジン1000mg/日(200mg 3回+就寝前400mg)15日間投与の第5日に併用にて投与した。R-ワルファリンの単独投与時と比し、シメチジン併用によりR-ワルファリンのAUC0-240は有意に増大し、半減期は有意に延長し、血漿クリアランスは有意に低下した。一方、S-ワルファリンの体内動態には、シメチジン併用による有意な変動は認められなかった。ワルファリンの分布容積はR体、S体ともシメチジンによる有意な変化は来たさなかった。(海外)
【参考文献】 [文献請求番号]
1)Niopas I et al.: Br. J. Clin. Pharmacol., 32, 508(1991) WF-0657
2)Choonara IA et al.: Br. J. Clin. Pharmacol., 21, 271(1986) WF-0289
3)Toon S et al.: Br. J. Clin. Pharmacol., 21, 245(1986) WF-0270
4)Kerley B et al.: Can. Med. Assoc. J., 126, 116(1982) WF-0459
5)Bell WR et al.: Arch. Intern. Med., 146, 2325(1986) WF-0320
6)Toon S et al.: Eur. J. Clin. Pharmacol., 32, 165(1987) WF-0355
7)O’Reilly RA: Arch. Intern. Med., 144, 989(1984) WF-0383
8)Desmond PV et al.: Clin. Pharmacol. Ther., 35, 338(1984) WF-0389
9)Choonara IA et al.: Br. J. Clin. Pharmacol., 21, 85(1986) WF-0452
[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]
〔薬効分類 232 消化性潰瘍用剤〕
[相互作用の内容]
本剤の作用を増強したとの報告がある。
[併用時の注意]
臨床上問題にならない程度と思われるが、併用開始時および併用中止時は、血液凝固能検査値の変動に注意すること。
[相互作用の機序]
不明。
[相互作用の事例]
<症例報告事例>1)【ワルファリンの作用増強】
65才女性。再発性の深部静脈血栓症、再発性の消化管出血、鉄欠乏性貧血で入院していたが、ワルファリン5mg/日、ラニチジン600mg/日、スクラルファート懸濁液4g/日、硫酸鉄975mg/日、アミトリプチリン25mg/日の処方にて退院となった。退院4日前、ラニチジンを300mg/日から増量としていた。退院時、プロトロンビン時間17.6秒、活性化部分トロンボプラスチン時間33秒であった。退院1週後、吐血を来し入院。プロトロンビン時間36.7秒、活性化部分トロンボプラスチン時間200秒であった。ラニチジンを300mg/日に減量し、ワルファリンを2日間休薬して、プロトロンビン時間はコントロール値の2倍となった。以降、ワルファリン5mg/日とラニチジン300mg/日で、プロトロンビン時間は19.0~20.0秒で安定している。(海外)
<臨床研究報告>2,3,5)【相互作用なし】
健康成人男子における検討で、ラニチジンはワルファリンの体内薬物動態および抗凝固効果に対し、有意な影響は示さなかった。(海外)
<臨床研究報告>4)【ワルファリンのクリアランス低下】
健康成人男子5名に対し、ワルファリン10mgを単独またはラニチジン150mg 1日2回12日間投与の第8日朝に併用にて単回経口投与した。ワルファリンの経口クリアランスはラニチジンにより有意に低下した。ワルファリンの半減期には有意差はなかった。(海外)
<基礎研究報告>5)【相互作用なし】
ラットに14C標識ワルファリン0.22mg/kgを腹腔内投与した。次いで、ワルファリン投与1時間後からラニチジン166mg/kgまたは生食を12時間毎に5回、腹腔内投与した。プロトロンビン複合体活性の経時的変化は、ラニチジン群と生食群の間に有意な差は認められなかった。また、ワルファリンの半減期、分布容積、クリアランスは、ラニチジン群と生食群の間に有意な違いは認められなかった。
【参考文献】 [文献請求番号]
1)Baciewicz AM et al.: Ann. Intern. Med., 112, 76(1990) WF-0556
2)Toon S et al.: Eur. J. Clin. Pharmacol., 32, 165(1987) WF-0355
3)O’Reilly RA: Arch. Intern. Med., 144, 989(1984) WF-0383
4)Desmond PV et al.: Clin. Pharmacol. Ther., 35, 338(1984) WF-0389
5)Serlin MJ et al.: Br. J. Clin. Pharmacol., 12, 791(1981) WF-1714
[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]
〔薬効分類 232 消化性潰瘍用剤〕
[相互作用の内容]
本剤の作用を増強したとの報告がある。
[併用時の注意]
臨床上問題にならない程度と思われるが、併用開始時および併用中止時は、血液凝固能検査値の変動に注意すること。
[相互作用の機序]
不明。
[相互作用の事例]
<症例報告事例>1)【ワルファリンの作用増強】
78才女性。僧帽弁置換術後より数年間ワルファリンを服用中であったが、ニザチジン300mgを6回服用した後、消化管出血とプロトロンビン時間の著しい延長を認めた。(海外)
<臨床研究報告>2)【相互作用なし】
健康成人7名にワルファリン5mgを6週間連続投与し、第3~4週はニザチジン300mgを併用した。プロトロンビン時間、第Ⅱ、Ⅴ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ凝固因子活性、カオリンセファリン凝固時間や、ワルファリンの血中濃度にはニザチジン併用による変化は認められなかった。(海外)
【参考文献】 [文献請求番号]
1)Karlstadt RG et al.: Arch. Intern. Med., 151, 810(1991) WF-2082
2)Cournot A et al.: J. Clin. Pharmacol., 28, 1120(1988) WF-0594
[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]
〔薬効分類 232 消化性潰瘍用剤〕
[相互作用の内容]
本剤の作用を増強したとの報告がある。
[併用時の注意]
臨床上問題にならない程度と思われるが、併用開始時および併用中止時は、血液凝固能検査値の変動に注意すること。
[相互作用の機序]
不明。
[相互作用の事例]
<症例報告事例>1)【ワルファリンの作用増強】
(症例1)77才女性。ワルファリン、ファモチジン、ロバスタチン投与中に腹腔内出血を来たし、プロトロンビン時間比は3倍に延長。
(症例2)74才女性。ワルファリン投与中にファモチジン併用を開始したところ、INRは3.3から9.1となり消化管出血を来たした。(海外)
<臨床研究報告>2)【相互作用なし】
健康成人男子8名にプロトロンビン時間が2~5秒延長するようにワルファリンを連続投与した。次いでファモチジン40mg/日の投与を開始し、7日間併用した。ファモチジン投与7日目、ファモチジン単独投与時と比しファモチジンの半減期はワルファリンによりわずかだが有意に延長したが、最高血漿中濃度、同到達時間、AUC0-10、AUC0-∞はいずれもワルファリンの影響を受けなかった。一方、プロトロンビン時間、トロンボテスト値、定常状態血漿ワルファリン濃度はいずれも、ファモチジン投与による有意な変動は示さなかった。(海外)
【参考文献】 [文献請求番号]
1)Karlstadt RG et al.: Arch. Intern. Med., 151, 810(1991) WF-2082
2)de Lepeleire I et al.: Int. J. Clin. Pharmacol. Res., 10, 167(1990) WF-0563