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  • 公開日時 : 2017/10/18 00:00
  • 更新日時 : 2019/04/25 18:03
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【ワーファリン】 Ⅷ‐7.[キニジン硫酸塩水和物]不整脈用剤との相互作用(適正使用情報別冊(Ⅷ 相互作用各論) 第3版 2019年3月更新第9版)

【ワーファリン】  Ⅷ‐7.[キニジン硫酸塩水和物]不整脈用剤との相互作用(適正使用情報別冊(Ⅷ 相互作用各論) 第3版 2019年3月更新第9版)
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回答

[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]

〔薬効分類 212 不整脈用剤〕

 

[相互作用の内容]

本剤の作用を増強する。【キニジンの添付文書に併用注意の記載がある】。

 

[併用時の注意]

相互作用は一様ではないが、本剤の作用を増強するという報告が多い。

また、その際には出血などの重篤な症状が現れていることが多い。

血液凝固能検査値の変動に十分注意し、必要に応じて本剤の用量調節を行うこと。

また、出血などの所見にも注意すること。 


[相互作用の機序]1,2)

不明。

ビタミンK依存性血液凝固因子の肝での合成を阻害する。

 

[相互作用の事例]

<症例報告事例>3)【ワルファリンの作用増強】

ワルファリン投与中でプロトロンビン活性比が15~25%に維持されていた3例の心房細動患者にキニジン800~1200mg/日を投与したところ、6~10日後に著明な出血性徴候が出現した。プロトロンビン活性比は6~8%に低下していた。(海外)

 

<症例報告事例>4)【ワルファリンの作用減弱】

ワルファリンまたはジクマロール投与中の患者各2例の心房細動にキニジンを投与したところ、4例全例で抗凝固薬必要量が増加した。(海外)

 

<臨床研究報告>5)【相互作用なし】

ワルファリンとキニジンの併用が10例の患者で3~86週間、延べ311(患者×週)行われたが、キニジンの併用開始および併用終了によるプロトロンビン複合体活性の大きな変動は認められず、また、この間に出血性徴候も認められなかった。

(症例1)60才女性。ワルファリン7mg/日でプロトロンビン複合体活性は7~21%。キニジン800mg/日投与でも、プロトロンビン複合体活性は28%と治療域内。


(症例2)34才男性。ワルファリン55~60mg/週投与下に、キニジン800~1000mg/日を延べ63週併用も、特筆すべき変化はなかった。


(症例3)55才男性。ワルファリンとキニジンを併用しても、プロトロンビン複合体活性は治療域内。


(症例4)45才男性。キニジンとワルファリンを59週に亘り併用したが、ワルファリン投与量の変化は5mg/週以内。(海外)

 

<症例報告事例>6)【ワルファリンの作用増強】

48才男性。大動脈弁狭窄症、冠動脈疾患と診断され、上室性期外収縮に対してキニジン600mg/日の投与を開始した。約3ヵ月後、大動脈弁置換術を施行した。キニジンは中止し、術後6日目よりワルファリン投与を開始した。ワルファリン開始3日後のプロトロンビン活性は10%未満であった。術後13日目、心房細動に対しキニジン600mg/日とプロプラノロール80mg/日の投与を開始した。術後17日目、プロトロンビン活性は20%で、術後18日目にワルファリン用量を2.5mg/日として退院した。退院3日後、プロトロンビン活性が10%未満となりワルファリンを2日休薬した。プロトロンビン活性が22%となったのでワルファリンを2.5mg/日で再開した。術後34日目(退院16日後)、プロトロンビン活性は8%未満となり、血尿を来たした。ワルファリンは中止し、血尿は12日後に消失した。この時、プロトロンビン活性は24%であった。術後46日目(退院28日後)、プロトロンビン活性は46%でキニジンを中止した。その後ワルファリン用量は2.5~5.0mg/日で推移した。キニジン中止後、プロトロンビン時間の延長や出血は来たしていない。(海外)


 

【参考文献】    [文献請求番号]

1)USP-DI,22nd ed.,Vol.Ⅰ,        265(2002)    WF-1157

2)Stockley IH: Drug Interactions 5th ed.

(Blackwell Scientific Publications, Oxford),        256(1999)    WF-1436

3)Koch-Weser J et al.: Ann. Intern. Med.,    68,    511(1968)    WF-0727

4)Sylven C et al.: Br. Med. J.,    286,    1181(1983)    WF-0653

5)Jones FL Jr.: Bull. Gersinger Med.Center,    21,    35(1969)    WF-0728

6)Gazzaniga AB et al.: N. Engl. J. Med.,    280,    711(1969)    WF-2089

【図表あり】