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  • 公開日時 : 2017/10/18 00:00
  • 更新日時 : 2019/04/26 13:13
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【ワーファリン】 Ⅷ‐7.[β遮断剤]不整脈用剤との相互作用(適正使用情報別冊(Ⅷ 相互作用各論) 第3版 2019年3月更新第9版)

【ワーファリン】  Ⅷ‐7.[β遮断剤]不整脈用剤との相互作用(適正使用情報別冊(Ⅷ 相互作用各論) 第3版 2019年3月更新第9版)
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回答

[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]

〔薬効分類 212 不整脈用剤、214 血圧降下剤〕

 

[相互作用の内容]

本剤の作用を増強したとの報告がある(プロプラノロール)。【プロプラノロールの添付文書に併用注意の記載がある】

本剤との相互作用はないと考えられる(その他のβ遮断剤)。
 

 

[併用時の注意]

相互作用は生じないか、または生じたとしても臨床上問題にならない程度と思われる(プロプラノロール)。

 

[相互作用の機序]

不明。

 

[相互作用の事例]

<臨床研究報告、基礎研究報告>1)【プロプラノロールによるワルファリンの作用増強】

(研究1)健康成人男子6名にプロトロンビン時間がコントロール値より約3秒延長するようにワルファリンを42日間連続投与した。第14日~第27日、プロプラノロール80mgを1日2回、併用にて投与した。プロプラノロール併用期、ワルファリンの血漿中濃度はワルファリン単独期に比し有意な上昇を示した。一方、プロトロンビン時間、尿中ワルファリン代謝物排泄、ワルファリンの血漿蛋白結合率には、プロプラノロールによる有意な影響は認められなかった。


(研究2)ウサギに対しプロプラノロール20mg/kg/日または生食を腹腔内に4回投与した。最終投与の30分後、全てのウサギに対しワルファリン0.63mg/kgを静注した。ワルファリンのクリアランスは両群間に有意差はなかったが、ワルファリンの半減期はプロプラノロール群が生食群より有意に短く、ワルファリン分布容積はプロプラノロール群が生食群より小さい傾向(p<0.1)であった。一方、プロトロンビン複合体活性の経時的検討では、プロプラノロール群と生食群に有意な差異は認められなかった。(海外)

 

<臨床研究報告>2)【ビソプロロール、相互作用なし】

健康成人男子12名にワルファリンを連日投与してプロトロンビン時間を正常値の1.5倍に安定化させた後、ビソプロロールを10日間併用投与、その後さらに5日間ワルファリン投与を続けて、プロトロンビン時間を監視した結果、ビソプロロール投与によるプロトロンビン時間への影響は認められなかった。(海外)


<臨床研究報告>3)

【プロプラノロール、アテノロールによるワルファリンの作用増強/メトプロロール、相互作用なし】

健康成人男子非喫煙者6名にプロプラノロール80mg 12時間毎7日投与、メトプロロール100mg 12時間毎7日投与、アテノロール100mg 24時間毎73日投与し、第3日にワルファリン15 mgを単回経口投与した。プロプラノロールによりワルファリン単独投与時に比しワルファリンのAUC0-96が16.3%の有意な増大、最高血漿中濃度が23.0%の有意な上昇を示した。アテノロールによりワルファリンの最高血漿中濃度は12.5%の有意な上昇を示したが、AUC0-96には有意な変化はなかった。メトプロロールはワルファリンの最高血漿中濃度、AUC0-96のいずれに対しても、有意な影響はなかった。ワルファリンの最高血漿中濃度到達時間、半減期、プロトロンビン時間の最大値とワルファリン投与前値の比、血漿第Ⅱ因子活性、最大効果発現時間には、いずれもβ遮断薬投与による有意な変動は認められなかった。(海外)

 

<臨床研究報告>4)【アセブトロール、相互作用なし】

安定した長期ワルファリン療法施行中の6例に、アセブトロール300mgを8時間毎に5日間経口投与した。アセブトロール追加投与前と比し、プロトロンビン時間の有意な変動は認められなかった。(海外)

 

<臨床研究報告>5)【エスモロール、相互作用なし】

健康成人男子に対しエスモロール単独投与、ワルファリン単独投与、エスモロール+ワルファリン併用投与を行った。各薬剤は定常状態になるように連続投与した。ワルファリンの最高血漿中濃度、同到達時間、AUCはエスモロール併用の影響を受けなかった。エスモロールの血中濃度はワルファリン併用により僅かに上昇した。(海外)

 

<基礎研究報告>6)【カルベジロール、相互作用なし】

カルベジロールはin vitroでワルファリンの血漿蛋白結合率に影響しなかった。

 

<症例報告事例>7)【プロプラノロールによるワルファリンの作用増強】

63才男性。右脚の深部静脈血栓症に対し目標BCR(British Corrected Ratio)2.0でワルファリン6mg/日の投与を開始した。その際、粘液水腫治療目的で15年来服用していたチロキシンの投与を中止した。その後、BCRはワルファリンを増量したにも関わらず1.3に低下した。さらにBCRが低下した頃、患者は甲状腺中毒を来たし、放射性ヨード療法開始に先行して症状のコントロール目的にてプロプラノロール160mg/日の投与を開始した。プロプラノロール投与開始後、BCRは2.5へと上昇し、プロプラノロールを中止するまでこの値は維持され、投与を中止したら従前の値に低下した。甲状腺機能は放射性ヨード療法で正常化した。本症例においてはプロプラノロールによるワルファリンの作用増強が疑われた。(海外)

 

 

【参考文献】    [文献請求番号]

1)Scott AK et al.: Br. J. Clin. Pharmacol.,    17,    559(1984)    WF-0415

2)Warrington SJ et al.:J. Cardiovasc. Pharmacol.,    16(S-5),    S164(1990)    WF-0627

3)Bax NDS et al.: Br. J. Clin. Pharmacol.,    17,    553(1984)    WF-1752

4)Ryan JR: Am. Heart J.,    109,    1131(1985)    WF-2047

5)Lowenthal DT et al.: Am. J. Cardiol.,    56,    14F(1985)    WF-2048

6)Ruffolo RR Jr. et al.: Drugs of Today,    27,    465(1991)    WF-2050

7)Bax NDS et al.: Drugs,    25(S-2),    121(1983)    WF-2051

【図表あり】