ワルファリンの主要消失経路は肝臓代謝であるため、肝硬変患者のように肝機能が著しく低下した病態ではワルファリンの肝クリアランスが低下し抗凝固効果が増加する可能性がある。慢性肝疾患患者におけるワルファリンの代謝に関するデータは得られていない。急性ウイルス性肝炎の患者において、急性期の発生時や回復後にワルファリンクリアランスや蛋白結合率に変化がなかった。しかし、おそらく凝固蛋白合成の障害の結果と見られる抗凝固薬療法への感受性が増大した3)。(Ⅲ-16「肝疾患患者への使用」の項参照)。肝疾患の存在下では血液凝固因子蛋白の合成が低下し6)、そのことも薬力学的機序で感受性が高まる原因となる。
【参考文献】 [文献請求番号]
3)Shetty HGM et al.: Clin. Pharmacokinetics, 16, 238(1989) WF-0667
6)Gallus AS et al.: Br. J. Haematol., 22, 761(1972) KY-0161
【更新年月】
2021年1月