• No : 1588
  • 公開日時 : 2017/10/18 00:00
  • 更新日時 : 2021/03/18 08:14
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【ワーファリン】 IV‐4.1.分布容積(適正使用情報 改訂版〔本編〕 2020年2月発行)

【ワーファリン】 
 
IV‐4.1.分布容積(適正使用情報 改訂版〔本編〕 2020年2月発行)
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回答

ワルファリン投与後の消失動態は、1コンパートメント・オープンモデル(one compartment open model)に従う。


Toonら1)は、ワルファリンの見かけの分布容積は、0.109 L/kgから0.199 L/kgの範囲にあると報告している。


O'Reillyら3)は健康成人3名(図1中のN-1,2,6)にワルファリン(50mg、100mg、200mg)を投与したところ、その分布容積は体重の平均12.5%であると報告している。

ワルファリンの一対の光学異性体(S-ワルファリン及びR-ワルファリン)間には消失動態が異なることが知られているが、分布容積ではあまり相違がないようである。


Banfieldら2)は、ワルファリン(ラセミ体)1.5mg/kgを単回経口投与した場合の分布容積はS-ワルファリン、R-ワルファリンともに0.14L/kgであり、光学異性体で差はないと報告している。

 


参考として、最近の報告を以下に示す。


Jiangらの報告11)では、ワルファリン10mgの単回経口投与において、S-ワルファリン及びR-ワルファリンの分布容積はともに0.12 L/kgであった。


Liljaらの報告12)では、ワルファリン25mgの単回経口投与において、S-ワルファリン及びR-ワルファリンの分布容積はそれぞれ0.15 L/kg 及び0.20 L/kgであった。


Kingら13)は、健康成人男子にワルファリン2mg、5mg及び10mgを経口投与した際の薬物動態を検討している。分布容積は2mg、5mg及び10mgそれぞれで21 L、12 L、そして10Lとなり、血中濃度依存的に薬物動態パラメータが異なることを報告している。


ワルファリンの薬物動態に関するほとんどの報告は、単回投与では30mg前後あるいはそれ以上の投与量であり、2mg未満の投与量における体内動態には不明な点がある15)。日本人の健康成人男子においてワルファリン5mg、1mg及び0.5mgを単回経口投与した報告16)では、最終消失相の分布容積がそれぞれ平均14 L、23 L及び26 Lであり、投与量との負の相関をもって増加することが観察された。


 
【参考文献】    [文献請求番号]

1)Toon S et al.: Br. J. Clin. Pharmacol.,    21,    245(1986)    WF-0270

2)Banfield C et al.: Br. J. Clin. Pharmacol.,    16,    669(1983)    WF-0399

3)O’Reilly RA et al.: Thromb. Diathsis Haemorrh.,    1,    1(1964)    WF-0036

4)Anderson GF : Thromb. Diathsis Haemorrh.,    18,    754(1967)    WF-0715

5)Coldwell BB et al. : Toxicol. Appl. Pharmacol.,    28,    374(1974)    WF-0063

6)Shetty HGM et al. : Clin. Pharmacokinetics,    16,    238(1989)    WF-0667

7)Orme ML’E et al. : Br. Med. J.,    1,    1564(1977)    WF-0610

8)Piroli RJ et al. : Clin. Pharmacol. Ther.,    30,    810(1981)    WF-0183

9)Ganeval D et al. : Clin. Nephrol.,    25,    75(1986)    WF-0668

10)壬生 真人ら : 小児科臨床,    51,    2156(1998)    WF-1122

11)Jiang X et al.: Br. J. Clin. Pharmacol.,    59,    425(2005)    WF-2014

12)Lilja JJ et al. : Br. J. Clin. Pharmacol.,    59,    433(2005)    WF-2015

13)King S-YP et al. : Pharm. Res.,    12,    1874(1995)    WF-0990

14)Thijssen HHW et al. : J. Pharmacol. Exp. Ther.,    243,    1082(1987)    WF-0496

15)Lappin G et al.: Clin. Pharmacol. Ther.,    80,    203(2006)    WF-2362

16)土肥口 泰生ら: 薬理と治療,    36,    401(2008)    WF-2800

 

【更新年月】

2021年1月