• No : 1529
  • 公開日時 : 2017/10/17 00:00
  • 更新日時 : 2021/03/08 11:26
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【ワーファリン】 I‐6.経口抗凝固薬の種類(適正使用情報 改訂版〔本編〕 2020年2月発行)

【ワーファリン】 
 
I‐6.経口抗凝固薬の種類(適正使用情報 改訂版〔本編〕 2020年2月発行)
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回答

ワルファリンはビタミンK拮抗作用を機序とする経口抗凝固薬であり、ビタミンK拮抗薬(Vitamin K Antagonist:VKA)の代表的薬剤である。本邦ではカリウム塩が使用されているが、海外ではナトリウム塩がほとんどでCOUMADIN、MAREVANなどの商品が知られている。

 
 


 
 

・新規の経口抗凝固薬(Direct Oral AntiCoagulant:DOAC)

使用可能な薬剤はワルファリン以外に、トロンビンを直接阻害する抗トロンビン剤(ダビガトラン)、活性化第Ⅹ因子を直接阻害するⅩa阻害剤(リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバン)がある。これらの新規経口抗凝固薬が近年臨床で使用できるようになり、血栓塞栓症の予防、治療の選択肢が増えた。DOACもしくはNOAC(Novel Oral AntiCoagulant)の略称で総称して呼ばれることがある。

 


・ビタミンK拮抗薬(Vitamin K Antagonist:VKA)

ビタミンK拮抗作用を機序とする経口抗凝固薬は、クマリン系とインダンジオン系の2系統あり、いずれもINR等の血液凝固能検査で治療域の設定、管理が可能な点で共通しており、ビタミンK拮抗薬(VKA)と総称される。ただし、現在国内で使用可能なビタミンK拮抗薬はワルファリンのみである。


・ワルファリン以外に臨床応用されるビタミンK拮抗薬

臨床に用いられてきた経口抗凝固薬には、ワルファリンに代表されるが、ビタミンK拮抗薬(Vitamin K Antagonist:VKA)として、クマリン系抗凝固薬ならびにインダンジオン系抗凝固薬がある(ワルファリン以外は本邦販売なし)。作用機序が同じであり、VKAとして考察される場合が多いが、半減期が数時間の成分から数日間の成分が存在することなど、体内動態プロファイルの相違にも考慮が必要である。

 


・ビタミンK拮抗薬(VKA)の各成分間の体内動態の相違点

海外の論文などで、ワルファリン以外のビタミンK拮抗薬によるデータが報告される場合が少なくない。最近では多くの場合が共通の作用機序、共通の指標であるINRがあり、ビタミンK拮抗薬として分類される。

しかしながら、体内動態における特徴が大きく異なる成分もあり、投与方法、遺伝子多型、アドヒアランスなどに関連する考察の際には注意が必要と考える。


・消失半減期:Acenocoumarol(9時間)、Phenprocoumon(5.5日)など主な成分について簡単に体内動態プロファイルを次に示す1)。

Acenocoumarolにおいて、光学異性体のR-体ではCYP2C9 及びCYP2C19で代謝され、消失半減期は約 9時間、S-体ではCYP2C9で代謝され、0.5時間であり、消失半減期の影響でR-体がより強力である。

Phenprocoumonにおいて、R-体、S-体共にCYP2C9で代謝され、消失半減期は5.5日と非常に長い。抗凝固作用はS-体がR-体より1.5~2.5倍強力である。

Fluindioneにおいて、平均の半減期は31時間であり、光学異性体をもたない。


・ CYP関連の影響を受けない新たなビタミンK拮抗薬Tecarfarin 

新たなビタミンK拮抗薬Tecarfarin(ATI-5923)はCYP2C9の影響を受けにくく、warfarinと異なり、相互作用を回避できる薬剤として開発されている。フルコナゾールによるCYP2C9、CYP3A4阻害による薬物動態、薬力学的な影響がwarfarinより少ないことを示した2)。
 
 


 

ビタミンK拮抗薬の構造と名称を以下に示す。
 
 


 

【参考文献】    [文献請求番号]

1)Ageno,W. et al.: Chest,     141,     e44S (2012)     WF-3659

2)Bavisotto,L.M. et al.: J.Clin.Pharmacol.,     51,     561 (2011)     WF-3604

【図表あり】
 
【更新年月】
2021年1月