[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]
〔薬効分類 241 脳下垂体ホルモン剤〕
[相互作用の内容]
抗凝固薬の作用を増強させるとの報告がある。
抗凝固薬の作用を減弱させるとの報告がある。
[併用時の注意]
併用開始時および併用中止時は、血液凝固能検査値の変動に注意すること。
[相互作用の機序]
不明。
[相互作用の事例]
<症例報告事例>1)【エチルビスクマセテートの作用減弱】
急性血栓性静脈炎の女性性に対しエチルビスクマセテート投与を開始し、プロトロンビン活性を20%未満に維持した。次いで、ホルモンがプロトロンビン活性に与える影響を検討するために、ACTHの投与を開始した。ACTH開始後、プロトロンビン活性は直ちに上昇し始め、エチルビスクマセテートの増量が必要になった。エチルビスクマセテート増量、ACTH減量のいずれでも、プロトロンビン活性を治療域内に維持可能であった。(海外)
<臨床研究報告>2)【ジクマロール、フェニンジオンの作用増強】
(研究1)6例に対し長時間作用型コルチコトロピン(コルチコデポー)20~40IU筋注またはコルチコトロピン12.5IU点滴静注を4日間施行した。コルチコトロピン投与前、投与中、投与後のプロトロンビンプロコンベルチン値には、有意な変動は認められなかった。
(研究2)血栓塞栓症にてフェニンジオン(フェニルインダンジオン)またはジクマロールを投与中で、抗凝固薬維持用量が安定しており、プロトロンビンプロコンベルチン値が20~30%と治療域内にある患者14例に対し、コルチコトロピン12.5mg静注9日間、20~40IU筋注4~5日間、100mg/日筋注4日間のいずれかの方法で投与した。症例5では2回試験を実施した。プロトロンビンプロコンベルチン値が一定となるよう、抗凝固薬用量を調節した。計15回の試験中6回では、コルチコトロピン投与前と投与中で抗凝固薬投与量は不変にも関わらずプロトロンビンプロコンベルチン値が低下し、2回では抗凝固薬投与量を減量したが、プロトロンビンプロコンベルチン値が低下した。6例では抗凝固薬減量によりプロトロンビンプロコンベルチン値が上昇したが、この内3例はほとんど変化はなく、残る3例は抗凝固薬の減量しすぎと思われた。1例のみコルチコトロピンによる抗凝固効果減弱が認められた。
【参考文献】 [文献請求番号]
1)Chatterjea JB et al.: Br. Med. J., 790(1954) WF-0703
2)Hellem AJ et al.: Acta Med. Scand., 150, 389(1954) WF-2316