[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]
〔薬効分類 625 抗ウイルス剤〕
[相互作用の内容]
本剤の作用を減弱したとの報告がある。【リバビリンの添付文書に併用注意の記載がある】
[併用時の注意]
十分な情報で評価が確立するまで、一応の注意が必要である。
併用開始時および併用中止時は、血液凝固能検査値の変動に注意し、必要に応じて本剤の用量調節を行うこと。
[相互作用の機序]
不明。
[相互作用の事例]
<症例報告事例>1)【ワルファリンの作用減弱】
61才男性。大動脈弁置換術後にワルファリン療法を開始、INRは1.8~2.3に維持されていた。低純度の濃縮凍結乾燥第Ⅷ因子投与によりC型肝炎に感染し、C型肝炎ウイルスRNA陽性の活動型肝炎と診断、インターフェロンα-2b皮下注とリバビリン1200mg/日経口投与で1年間加療した。インターフェロンとリバビリンの投与開始直後、INRを治療域に維持するために必要なワルファリン量が、それまでの45mg/週から62.5mg/週となった。その後、ワルファリン必要量は57.5mg/週まで僅かに減少したが、インターフェロンとリバビリンの投与を終了した所、3週間でINRが2.2から3.4へと上昇した。このためワルファリンを47.5mg/週に減量した。インターフェロンはワルファリンの作用を増強するとの報告があるので、本症例はリバビリンによるワルファリンの作用減弱と考えられた。本症例で1年後にワルファリン投与量の変更なしにリバビリン1000mg/日の再投与試験を行ったところ、INRの低下を認めた。(海外)
【参考文献】 [文献請求番号]
1)Schulman S: Ann. Pharmacother., 36, 72(2002) WF-1369
[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]
〔薬効分類 639 その他の生物学的製剤〕
[相互作用の内容]
本剤の作用を増強する可能性がある。
【インターフェロン-α、α-2b、αcon-1、β、β-1b、ペグインターフェロン-α-2bの添付文書に併用注意の記載がある】
[併用時の注意]
併用開始時および併用中止時は、血液凝固能検査値の変動に注意し、必要に応じて本剤の用量調節を行うこと。
また、インターフェロンによる肝機能改善により、本剤の肝での薬物代謝や血液凝固因子の生合成が促進され、見かけ上本剤の作用が減弱する可能性もある。
[相互作用の機序]
インターフェロンが本剤の肝薬物代謝酵素を阻害する可能性がある。
[相互作用の事例]
<症例報告事例>1)【ワルファリンの作用増強】
52才女性。ワルファリン3.5mgと2.5mgを交替で隔日に投与されていた。慢性活動性肝炎のため、インターフェロンα600万単位を2週間連日投与し、以降は週3回投与した。インターフェロンα開始10日目、トロンボテスト値は27%から17%に低下し、ワルファリンの血中濃度は0.8μg/mLから5.2μg/mLに上昇していた。それ以外の4症例(インターフェロンβ、インターフェロンα-2b各2例)でも、ワルファリンの減量を必要とした。
<症例報告事例>2)【ワルファリンの作用増強】
(症例1)59才女性。ワルファリン5mg/日でINRは2.0~3.0であった。インターフェロンβ600万単位/日投与開始14日目、INRは4.24となり、ワルファリンを休薬した。
(症例2)17才男性。ワルファリン3mg/日でINRは1.5~2.5であった。インターフェロンβ600万単位(当初連日、後に隔日)投与開始36日目、INRが3.14となり、ワルファリンを一時2mg/日に減量した。
(症例3)65才女性。ワルファリン3.5mg/日でINRは1.5~2.5であった。インターフェロンβ600万単位/日の開始14日目、INRが3.16となった。ワルファリンを一時2mg/日に減量した。
(症例4)60才男性。ワルファリン3mg/日でINRは2.0~2.5であった。インターフェロンβ600万単位の隔日投与開始11日目、INRが3.19となり、一時ワルファリンを2mg/日投与とした。
いずれの症例も、インターフェロン投与終了後、ワルファリン必要量はインターフェロン投与前の用量に戻った。<2004年10月の第14回日本医療薬学会年会の学会抄録>
【参考文献】 [文献請求番号]
1)Adachi Y et al.: Br. Med. J., 311, 292(1995) WF-0945
2)桜井 美由紀ら: 医療薬学, 30, 342(2004) WF-1864