[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]
〔薬効分類 218 高脂血症用剤〕
[相互作用の内容]
本剤の作用を減弱する。【コレスチラミンの添付文書に併用注意の記載がある】
[併用時の注意]
本剤投与中の患者にコレスチラミンを併用する時は、投与間隔をあける(6時間以上)ことで相互作用を弱めることができるが、完全に防ぐことはできないと考えられる。
併用開始時および併用中止時は、血液凝固能検査値の変動に十分注意し、必要に応じて本剤の用量調節を行うこと1)。
また、コレスチラミンがビタミンKなどの吸収を阻害するとの報告があり、低プロトロンビン血症による出血性副作用を発現する可能性が推測されるが、臨床的に問題にならない程度と考えられる2)。
[相互作用の機序]1,2)
コレスチラミンが腸管内で本剤を吸着し、吸収を阻害する。
コレスチラミンが本剤の腸肝循環を妨げる。
[相互作用の事例]
<症例報告事例>3)【ワルファリンの作用減弱】
25才男性。ワルファリンを過量に服用した6時間から測定したワルファリン消失半減期は53時間であった。治療のためビタミンK1を投与したがINRはなかなか低下しなかった。4日後より、ワルファリンの腸肝循環を阻害する目的でコレスチラミン16g/日を投与したところ、ワルファリンの消失半減期は33時間になった。(海外)
<臨床研究報告>4)【ワルファリンの作用減弱】
健康成人10名に、体表面積1m2あたり40mgのワルファリン単回経口投与を3回行った。試験第1週はワルファリン単独投与とし、第2~3週はコレスチラミン8gを1日3回投与して、第2週はコレスチラミン服用30分後、第3週はコレスチラミン服用6時間後にワルファリンを投与した。ワルファリン投与8時間後の血漿ワルファリン濃度は、第1週が5.6μg/mLと、第2週の2.7μg/mLおよび第3週の4.7μg/mLに比し有意に高かった。ワルファリン投与48時間後のプロトロンビン時間は、コントロール値と比較して、第1週および第3週では11秒延長したが、第2週は8秒の延長であり、抗凝固効果が有意に減弱していた。(海外)
<臨床研究報告>5)【ワルファリンの作用減弱】
健康成人男子5名にワルファリン1.0~1.2mg/kgを単独またはコレスチラミン併用下に、クロスオーバー法にて単回静注した。コレスチラミン併用時、コレスチラミンはワルファリン投与の2時間前から8時間毎に9日間、1回4gを経口投与した。コレスチラミン併用によりワルファリンの半減期は1.98日から1.34日へと有意に短縮し、総クリアランスは37.4mL/kg/dayから52.5mL/kg/dayへと有意に増大した。また、ワルファリンの抗凝固効果はコレスチラミン併用で有意に減弱した。(海外)
<症例報告事例>6)【ワルファリンの作用増強】
77才女性。うっ血性心不全および心房細動のため入院し、プロトロンビン時間を17.1秒にコントロールするようにワルファリン5mg/日を投与した。6週間後、皮下出血、血尿などの症状が出現した。この時のプロトロンビン時間は78.9秒、部分トロンボプラスチン時間は100秒であった。処置として、新鮮凍結血漿、ビタミンK投与を行い、4~5日後にはプロトロンビン時間および部分トロンボプラスチン時間は正常化した。1年前より服用していたコレスチラミンの投与を中止したところ、その後の経過は良好である。
<基礎研究報告>1)【ワルファリンの作用減弱】
コレスチラミンはin vitroでワルファリンを100%吸着した。
<症例報告事例>7)【コレスチラミンによる低プロトロンビン血症の事例】
57才女性。コレスチラミン12g/日等で加療し、著明な改善を示したが、3週後、著明な血尿、血便、起立性低血圧で入院した。ヘマトクリット値18.5%、プロトロンビン時間100秒超、部分トロンボプラスチン時間125秒、血小板数54万、フィブリノゲン300mg/dLであった。プロトロンビン時間はビタミンK10mgを筋注した4時間後には16秒となり、翌日には正常化した。出血は24時間以内に消失した。コレスチラミンによるビタミンK吸収不良から、二次的に低プロトロンビン血症を来たしたと考えられた。(海外)
【参考文献】 [文献請求番号]
1)川井 瑞恵ら: 薬理と治療, 24(S), S607(1996) WF-1354
2)Jahnchen E et al.: Br. J. Clin. Pharmacol., 5, 437(1978) WF-1359
3)Renowden S et al.: Br. Med. J., 291, 513(1985) WF-0449
4)Kuentzel WP et al.:Clin. Res., 18, 594(1970) WF-1358
5)Jahnchen E et al.: Br. J. Clin. Pharmacol., 5, 437(1978) WF-1359
6)Lawlor DP et al.: Cardiovasc. Rev. Rep., 14, 72(1993) WF-0806
7)Gross L et al.: Ann. Intern. Med., 72, 95(1970) KY-0156
[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]
〔薬効分類 218 高脂血症用剤〕
[相互作用の内容]
本剤との相互作用はないと考えられる。【コレスチミドの添付文書に併用注意の記載がある】
[併用時の注意]
特に注意する必要はないと思われる。
[相互作用の事例]
<基礎研究報告>1)【相互作用なし】
コレスチミドのin vitroでのワルファリンの吸着率は14%であった。
<基礎研究報告>2)【相互作用なし】
ビーグル犬にワルファリン10mgを単独またはコレスチミド0.3g併用にて投与した。ワルファリンの最高血漿中濃度は、単独投与時とコレスチミド併用時に有意な差はなかった。一方、ワルファリンのAUC0-48は、コレスチミド併用時の方が単独時に比し有意に大きかったが、平均値の差は5.8%と小さく、相互作用が問題になるとは考えにくいと思われた。
【参考文献】 [文献請求番号]
1)川井 瑞恵ら: 薬理と治療, 24(S), S607(1996) WF-1354
2)井沢 修ら: 薬理と治療, 24(S-4), S613(1996) WF-1719