• No : 1422
  • 公開日時 : 2017/10/13 00:00
  • 更新日時 : 2021/03/08 09:53
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【ワーファリン】 VI‐4.催奇形性(適正使用情報 改訂版〔本編〕 2020年2月発行)

【ワーファリン】 
 
VI‐4.催奇形性(適正使用情報 改訂版〔本編〕 2020年2月発行)
 
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回答

ワルファリンは胎盤通過するため胎児への影響がある。

妊婦の抗凝固薬療法では、妊娠中、分娩時の母体出血、胎児の先天異常、胎児死亡、新生児死亡などのリスクがある。

催奇形性には、大きく2通りが知られている1)。

 

Hallら1)は妊娠中にワルファリン(418例)またはヘパリン(135例)を投与した症例について考察している。

ワルファリン投与群では、明らかな異常が見られなかった新生児は、293例(70%)であった。また、分娩4~5日前にワルファリンを中止した群では、出血を伴った症例はなかった。ヘパリン投与群では、出血、死産はあるものの先天異常は見られず、86例(63%)が異常のない新生児であった。また、早産が19例と多かった。

 

ワルファリンの投与時期により胎児に与える影響は異なる。

軟骨発育不全は、臨界期間が妊娠6~9週目と考えられる。Hallらの報告1)では、この時期のワルファリン投与を避けた妊婦で、軟骨発育不全はなく、この時期を避ける意義は大きい。

中枢神経系への影響は、胎児の血液凝固因子産生開始以降であれば、いつでも起こりうる。

 

母体への影響ではヘパリンの方が出血のリスクが高い。

 

参考までに複数症例を考察した報告を表に示す13,14,15)。

 

大谷ら13)の報告では9例、Sareliら15)の報告では49例が妊娠初期3ヵ月中にワルファリンを服用していた。Nassarら16)は人工弁置換術後の妊娠管理33例82妊娠について検討し、ワルファリン単独管理の群で自然流産が多く、出産の率が低いと報告している。(Ⅴ-1「妊婦への使用(禁忌)」の項参照)

 

 

【参考文献】    [文献請求番号]
1)Hall JG et al.: Am. J. Med.,    68,    122(1980)    WF-0464
2)Zakzouk MS: J. Laryngol. Otol.,    100,    215(1986)    WF-0259
3)Tamburrini O et al.: Pediatr. Radiol.,    17,    323(1987)    WF-0361
4)Lamontagne JM et al.: J. Otolaryngol.,    13,    127(1984)    WF-0455
5)Ruthnum P et al.: Teratology,    36,    299(1987)    WF-0493
6)Mason JDT et al.: J. Laryngol. Otol.,    106,    1098(1992)    WF-0772
7)竹内 正七ら: 周産期医学,    13,    575(1984)    WF-0480
8)Barker DP et al.: Acta Paediatr.,    83,    411(1994)    WF-0887
9)Pati S et al.: Reproduct. Toxicol.,    8,    115(1994)    WF-0827
10)Kaplan LC et al.: Birth Defects,    18,    79(1982)    WF-0184
11)稲垣 晴代ら: 日本新生児学会雑誌,    34,    831(1998)    WF-1182
12)稲垣 晴代ら: 市立四日市病院雑誌,        13(2001)    WF-1445
13)大谷 信一ら: 血液と脈管,    12,    49(1981)    WF-0079
14)佐藤 芳昭ら: 日本産科婦人科学会雑誌,    33,    745(1981)    WF-0162
15)Sareli P et al.: Am. J. Cardiol.,    63,    1462(1989)    WF-0800
16)Nassar AH et al.: Am. J. Obstet. Gynecol.,    191,    1009(2004)    WF-1885

【図表あり】
 
【更新年月】
2021年1月