ワルファリンの投与を中止して、凝固能が正常化したことを確認した上で行うのが原則である。出血リスクの層別から判断すると高リスクに該当すると考える。
人工弁置換術後などの血栓塞栓症リスクの高い患者への投与を想定した継続的な抗凝固療法を必要とする場合の代表的な方法を示す。
なお、血栓塞栓症リスクの低い患者では、ワルファリンの中断のみにて、ヘパリンブリッジングを実施しない選択肢も考えられるが、個々の症例において、血栓塞栓症のリスク評価に妥当性が必要と考えられる。
岩出らは機械弁置換術後の患者29症例についてワルファリンを中止しヘパリンを投与した群とワルファリンを漸減中止した群を比較し、平均出血量に差がなく、漸減した群で1例血栓弁が生じたと報告している2)。その他、人工弁置換術後の大手術の症例報告としては、周ら3)の扁桃腺摘出術、小須賀ら4)の開腹手術などの報告がある。また総説としては、伴5)、青﨑6,7)、葉玉ら8)、内藤9)の報告がある。さらに一般外科10,11,12,13)、消化器外科14)の手術前後の管理について検討した報告、経尿道的前立腺切除術の管理15)についての報告がある。
また、ワルファリン中止、再開に関して、外科の観点からの考察16)と臨床薬理学的な観点からの考察17)が術前術後管理において参考になる。
【参考文献】 [文献請求番号]
1)北村惣一郎ら(前川 正ら監修):ワーファリン, Ⅶ.手術時の注意点(メディカルジャーナル社、東京), 131(1998) WF-2256
2)岩出 宗代ら: 日本臨床麻酔学会雑誌, 15, 560(1995) WF-0940
3)周 明仁ら: 耳鼻咽喉科臨床, 75, 1069(1982) WF-0088
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6)青﨑 正彦: JIM, 3, 419(1993) WF-0747
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