ワルファリン療法導入前には、一般的なことであるが、本剤に対するアレルギー既往歴の有無、妊娠の有無、特異体質か否か、併用薬の有無などの問診を行うこと。
ワルファリン投与前に血液凝固能に異常のないことを確認しておく。
ワルファリン療法には、血液凝固能のモニタリングが必須であり、そのためには基準となる投与前の患者の凝固能を測定しておくことが必要となる。ワルファリン投与前に患者の血液凝固能(プロトロンビン時間、トロンボテスト)を測定し、それをもとにワルファリン療法への導入、維持へとコントロールし、投与量を調節する。
また、プロテインC、及びプロテインSの先天性の欠乏者では、ワルファリンによってかえって皮膚壊死等の血栓症状を引き起こすことがあるので、ワルファリン療法導入前に一度プロテインC、プロテインS活性を測定すべきである。
その他の検査としては、出血時間、凝固時間、活性化部分トロンボプラスチン時間などの凝固系検査、フィブリン‐フィブリノゲン分解産物(FDP)量などの線溶系検査、血小板数、毛細血管抵抗などがある。また、血液凝固・線溶系に関連する分子マーカーのトロンビン・アンチトロンビン複合体(TAT)、D-ダイマー、プロトロンビン・フラグメント1+2(F1+2)などは、血栓の存在や血栓傾向の状態を把握する上で役立つと考えられる。さらに、肝・腎機能、貧血、出血の有無などの基礎疾患も確かめておくべき重要項目である。
【更新年月】
2021年1月