1. 病態モデル動物における作用

　(1) 心臓の前負荷、後負荷を軽減

　　　急性うっ血性心不全イヌによる実験で、本薬は静脈系容量血管を拡張することにより、静脈還流を減少させ、左室拡張終期圧の低下（前負荷の軽減）をもたらし、同時に末梢動脈を拡張して、総末梢血管抵抗を減少（後負荷の軽減）させました。これらの作用により、うっ血性心不全の血行動態を改善しました。（①）

　 (2) 心筋の局所血流量を増加

  　  デキストラン容量負荷イヌによる実験で本薬は、虚血域の心内膜側の心筋局所血流量を増加させました。また、臨床的にも運動負荷²⁰¹Tｌ心筋シンチグラフィーにより虚血心の心筋灌流を増大、改善させることが認められました。（②③）

　（3）虚血部心筋組織内ノルアドレナリンの増加

　　　梗塞イヌによる実験で虚血部心筋からのノルアドレナリンの放出が抑制され、虚血部心筋組織内ノルアドレナリンを増加させ、血行動態的には心係数、左室収縮力の改善を認めました。（④）

2. 血管拡張作用

　(1)静脈系容量血管の拡張

　　摘出したウサギ腸間膜動脈と静脈の10^－5mol／Lノルアドレナリン収縮に対し、硝酸イソソルビド10^－7mol／L以上の濃度で静脈は弛緩し、動脈は10^－5mol／L以上の濃度で弛緩することが認められました。（⑤）

　(2)cGMP産生作用

　　KClであらかじめ収縮させた子ウシの摘出冠動脈に本薬を添加すると、冠動脈の弛緩作用に比例してcGMPの産生が増加しました。（⑥）

　（参考）

　・ニトロール注5mg　添付文書2014年7月改訂（第8版）【薬効薬理】

　・ニトロール注5mgシリンジ　添付文書2014年7月改訂（第6版）【薬効薬理】

　・ニトロール点滴静注50mgバッグ・点滴静注100mgバッグ　添付文書2014年7月改訂（第6版）【薬効薬理】

　・ニトロール持続静注25mgシリンジ 添付文書2014年7月改訂（第5版）【薬効薬理】