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  • No : 1598
  • 公開日時 : 2017/10/18 00:00
  • 更新日時 : 2023/11/07 18:54
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【ワーファリン】 V‐11.周術期管理~ 抜歯関連 (診療科・領域別)(適正使用情報 改訂版〔本編〕 2020年2月発行)

【ワーファリン】 
 
V‐11.周術期管理~ 抜歯関連 (診療科・領域別)(適正使用情報 改訂版〔本編〕 2020年2月発行)
 
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回答

1.国内での報告

ワルファリン療法中の抜歯については、古くから多数報告されており、ワルファリン継続投与のままで抜歯する場合や、やや抗凝固作用を緩めて行う場合が紹介されている。INRが2.5以下であればワルファリン継続のままで抜歯可能であり、止血困難例では歯肉縫合、ガーゼ圧迫、局所止血剤を応用する1)。

トロンボテスト値30~40%(INR 1.29~1.47)にて観血処置を施行し、局所止血処置を行う2)。

トロンボテスト値が20%(INR 1.81)前後ならば、局所止血を完全に行えば後出血の危険は少なくなり、後出血したとしても局所的に止血は可能との報告がある3)。

局所止血法として抜歯窩内に局所用トロンビンを撒布し、オキシセルないしスポンゼルを挿入し、縫合後止血シーネを装着する。トロンボテスト値は30~50%(INR 1.20~1.47)程度にあげてから抜歯又は手術を行うのが安全との報告がある4)。

式守らがワルファリン療法中の46回の抜歯を検討した報告5)では、平均トロンボテスト値24.7%(INR 1.20~1.47)で行い、唾液中に新鮮血が混入しなくなるまでの止血時間は5.9時間(2~12時間)であった。

その他、坂下ら6)、矢島ら7)、藤本ら8)の報告がある。

近年においても多数、抜歯時にワルファリンを休薬する必要がないとの報告9-13)がある。

 

2.海外での報告

海外での比較試験として、Evansら14)は継続群(INR<4.0)と休薬群(INR≦2.0)で抜歯後の出血性合併症に有意差がなかったと報告している。同様にDevaniら15)は継続群(INR 2.0~4.0)と休薬群(INR 1.5~2.1)で抜歯後、酸化セルロース止血と縫合のみで抜歯24時間後までの出血は両群とも認められなかったと報告している。一方では、ワルファリン療法中断の有用性を示す報告16,17)もある。経口抗凝固薬を中止して口腔外科術(抜歯、歯肉手術、歯槽手術)を行った報告(症例報告、臨床研究)をレビューしたところ、493例542手技で5例に重篤な塞栓性合併症を来たし、内4例は致死的であった18)。

 

3.実態調査

抜歯時の対応の実態についてアンケート調査が報告19,20)され、中止している比率が高いことが示唆された。矢坂ら(2003)20)は医師66名、歯科医師9名から回答を得た。その結果によると、本調査の1年前は中止指示が54名、継続指示が6名、その他6名であったのに対し、調査年度には中止指示が36名、継続指示が20名、その他10名と、ワルファリンを中止せず抜歯する比率は増加していたと報告している。

 

4.休薬と血栓塞栓症

抜歯時のワルファリンの休薬が関連し、血栓塞栓症を発症した症例が報告されている21-24,28)。ワルファリン投与中の患者に対する抜歯はワルファリンを休薬せずに行い、予め適切な止血処置法を準備しておくことが望ましい。

 

5.抜歯に対する対応

「循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドライン」(2004)25)が公表され、ClassⅡa(データ・見解から有用・有効である可能性が高い)であるが、ワルファリンの継続を推奨する内容が示されている。また、「抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン」29)も同様の方針が示され、詳細に解説されている。

 

 

また、最近の抜歯時の手技や対応について、参考となる事例26,27)を紹介する。

 

 

 


 
【参考文献】    [文献請求番号]

1)青﨑 正彦: JIM,    3,    419(1993)    WF-0747

2)中里 滋樹ら: 岩手県立病院医学会雑誌,    23,    17(1983)    WF-0157

3)領家 和男ら: 歯科救急医療,    5,    32(1984)    WF-0158

4)松田 保: 日本医事新報,    3553,    132(1992)    WF-0692

5)式守 道夫: 日本口腔外科学会雑誌,    28,    10(1982)    WF-1875

6)坂下 勲ら: 日本胸部外科学会雑誌,    28,    1(1980)    WF-0087

7)矢島 幹人ら: 日本口腔外科学会雑誌,    37,    1890(1991)    WF-0690

8)藤本 耕二ら: 大阪大学歯学雑誌,    40,    400(1995)    WF-0977

9)伊藤 弘人ら: 有病者歯科治療,    10,    23(2001)    WF-1461

10)川瀬 ゆから: 有病者歯科治療,    10,    97(2001)    WF-1462

11)北村 龍二ら: 日本職業災害医学会雑誌,    52,    65(2004)    WF-1689

12)河野 博之ら: 日本心臓血管外科学会雑誌,    21,    245(1992)    WF-1876

13)新美 直哉ら: 日本口腔外科学会雑誌,    46,    445(2000)    WF-1879

14)Evans IL et al.: Br. J. Oral Maxillo. Surg.,    40,    248(2002)    WF-1630

15)Devani P et al.: Br. J. Oral Maxillofac. Surg.,    36,    107(1998)    WF-1150

16)Russo G et al.: Clin. Appl. Thromb. Hemost.,    6,    90(2000)    WF-1253

17)Sheller B et al.: Pediatr. Dent.,    16,    56(1994)    WF-0829

18)Wahl MJ: Arch. Intern. Med.,    158,    1610(1998)    WF-2309

19)栗田 浩ら: 有病者歯科治療,    8,    37(2000)    WF-1880

20)矢坂 正弘ら: 日本医事新報,    4124,    21(2003)    WF-1557

21)森田 曜ら: 鳥取医学雑誌,    29,    76(2001)    WF-1562

22)白木 照夫ら: 医療,    54,    575(2000)    WF-1626

23)篠崎 泰久ら: 歯界展望,    101,    409(2003)    WF-1628

24)近藤 英司ら: 日本口腔外科学会雑誌,    50,    209(2004)    WF-1685

25)笠貫 宏ら: Circ. J.,    68(S-4),    1153(2004)    WF-2229

26)牧浦 倫子: 神経内科,    63,    250(2005)    WF-2166

27)牧浦 倫子ら: 脳卒中,    27,    424(2005)    WF-2232

28)Yasaka M et al.: Thromb.Res.,     118,     290(2006)    WF-2426

29)科学的根拠に基づく抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン2015年改訂版    WF-4602

【図表あり】
 
【更新年月】
2021年1月
 
KW:歯科、口腔

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