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  • No : 1407
  • 公開日時 : 2017/10/12 00:00
  • 更新日時 : 2021/03/08 09:50
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【ワーファリン】 IV‐2.蛋白結合(適正使用情報 改訂版〔本編〕 2020年2月発行)

【ワーファリン】 
 
IV‐2.蛋白結合(適正使用情報 改訂版〔本編〕 2020年2月発行)
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ワルファリンは血漿蛋白結合率が高く、血中のワルファリンは1~10%が薬理効果を発揮する遊離形であり、90~99%はアルブミンと結合して薬理的には不活性な結合形の状態で存在する。ただし、両者の状態は可逆的な動的平衡状態である。

ヒトのアルブミンは、生理的なpHにおいて、1分子当たり1~3ヵ所のワルファリン結合部位を有すると考えられる。親和力定数の測定値は測定方法により異なり、0.75×105 mol /λから 2.5×105 mol /λの範囲に及んでいる1)。

前述のようにワルファリン錠は一対の光学異性体から構成されているが、両異性体の蛋白結合特性を比較すると、平衡透析法において27℃では両者に差はないが、37℃ではS-ワルファリンの方がR-ワルファリンよりアルブミン結合性が高いことが報告されている。


ワルファリンの抗凝固活性は血中の遊離形ワルファリンが肝細胞中に取り込まれ、作用部位(ビタミンKエポキシドレダクターゼ)に到達することにより発揮される2,3)。また、ワルファリンの主要な体外除去経路である肝代謝に関わる薬物代謝酵素も肝細胞中に存在するので、血中ワルファリンの蛋白結合状態の変化による体内動態と抗凝固効果への影響を考えることは重要である。


ワルファリンは、血漿蛋白結合率は高いが、併用薬にワルファリンよりもアルブミンに対する血漿蛋白結合親和性の高い薬剤が投与されると、血漿蛋白結合部位で併用薬によるワルファリンの置換が生じる結果、血液中のワルファリン濃度が少なくとも一時的には増加する。ただし、増加した遊離形ワルファリンは速やかに組織に再分布するため、遊離形薬物濃度の増加は臨床的には問題にならない程度の短時間しか生じない4)。また、遊離形薬物の組織再分布後に遊離形濃度がわずかに増加しても、遊離形ワルファリンに対する薬物代謝酵素の活性が不変である場合には、遊離形薬物ワルファリン濃度はいずれ併用薬服用開始前の濃度に回復するので薬理作用の変化はたとえあっても一時的である。バルプロ酸5)や抱水クロラール6)などが併用された場合に生じる血漿蛋白結合置換による相互作用はその例である。ワルファリンの血漿蛋白結合を置換する併用薬の投与を継続している状態でワルファリンの総(結合形+遊離形)濃度を測定すると、上記の理由で遊離形は併用薬投与前と同じであるが、結合率が低下しているため、総濃度は低下しており、総薬物濃度で評価した全身クリアランスは見かけ上増加しているように見える。


蛋白結合に影響する疾病状態について検討した報告を以下に示す。
 
Piroliら7)は、特発性低アルブミン血症患者におけるワルファリン体内動態の研究から、血漿中のワルファリン遊離分率(遊離形薬物濃度の総濃度に対する割合)が増加していること、総濃度で評価したワルファリンのクリアランスが増加し、血中半減期が短縮することを示唆した。この場合はワルファリンの分布容積は正常であることが見いだされた。低アルブミン症患者から得られた血漿を用いて蛋白結合の解析を行うと、アルブミン1分子当たりのワルファリン結合部位数や結合部位における親和性は対照被験者から得られた血漿におけるそれらと同様であったため、この疾患におけるワルファリンの蛋白結合率の低下は、アルブミン濃度の低下に起因しており、アルブミンの質的な異常のためではないことが指摘された。


Ganevalら8)も、ワルファリンの血漿蛋白結合をネフローゼ症候群と健康成人間で比較し、ネフローゼ症候群に伴う低アルブミン血症では、ワルファリンの血漿遊離形分率が増加しており、総濃度で評価したクリアランスも見かけ上大きくなることを報告している。


一方、Petersonらにより家族性異常アルブミン血症患者から得られた血漿による検討では、ワルファリン結合サイトが変化するために、ワルファリンの遊離形分率が増加することが報告されている9)。

 

【参考文献】    [文献請求番号]

1)Shetty HGM et al.: Clin. Pharmacokinetics,    16,    238(1989)    WF-0667
2)O’Reilly RA et al.: Thromb. Diathsis Haemorrh.,    1,    1(1964)    WF-0036
3)前川 正ら: Biomed. Sci.,    1,    160(1980)    WF-0370
4)Rolan PE et al. : Br. J. Clin. Pharmacol.,    37,    125(1994)    WF-0937
5)Stoysich AM et al. : Pharmacotherapy,    15,    107(1995)    WF-0831
6)Udall JA et al. : Ann. Intern. Med.,    81,    341(1974)    WF-0834
7)Piroli RJ et al. : Clin. Pharmacol. Ther.,    30,    810(1981)    WF-0183
8)Ganeval D et al. : Clin. Nephrol.,    25,    75(1986)    WF-0668
9)Petersen CE et al. : Chem. Biol. Interactions,    124,    161(2000)    WF-1250

 

【更新年月】

2021年1月

 

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